研究課題
本研究では、臨床において造血幹細胞移植の前処置剤として用いられているブスルファン(BU)に着目し、(1) ヒツジ胎子におけるBU至適投与条件・安全性を検討した上で、(2) ヒトiPS細胞のヒツジ胎子内造血系分化誘導における生着促進作用を明らかにすることで、効率的にヒト造血の生着率が向上しうるか否か検討する。平成24年度は、主に(2)についての検討を行なった。① 当該成果の論文の論文発表:妊娠42-49日齢のヒツジ胎子に対し、胎子移植を行なう6日前にBUを投与し、ヒト臍帯血CD34陽性細胞を胎子肝臓内に移植した。その後、得られた産子の骨髄を解析したところ、無処置と比較して6日前BU投与区では有意に高いヒト造血細胞生着率を得ることが出来た。当該実績を論文発表した。②長期生着能の評価:これらの個体をさらに長期的に観察し、既存の造血幹細胞の増幅法と比較した。その結果、BU前処置でも生着率を有為に向上させうるが、既存の造血幹細胞の増幅法ではより長期にわたってヒト造血を生着し続けられることが分かった。当該実績は、現在論文投稿中である。③ヒトiPS細胞の樹立とヒツジ胎仔への移植:ヒトiPS細胞の樹立を行ない、体外における中胚葉系への初期分化を実施した。ヒツジ胎子体内でヒトiPS細胞から効率的に造血幹細胞を作り出す技術において開発の足がかりが出来たといえる。以上の研究結果は、ヒツジ胎子体内でヒトiPS細胞から効率的に造血幹細胞を作り出す技術の足がかりといえる。また、ヒツジのような大型動物の胎子を用いた研究は前臨床的な試験を担っており、今回の研究成果が実用性ならびに安全面で大きく貢献できると言える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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