研究課題
神経堤細胞は大人になっても存在する体性幹細胞の一つで,再生医療に応用可能な細胞ソースとして注目されている.本研究の目的は歯や歯槽骨の再生医療に向け,毛包から分離した神経堤細胞の分化誘導と,上皮-間葉スフェロイド移植から歯胚形成能についての解析・検討である.P0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウス毛包を酵素処理し細胞を濾過後,GFPを指標としたソーティングで純化していく方法では神経堤細胞の回収効率が悪かったことから,毛包をコラゲナーゼ処理後,細胞塊のままコラーゲンゲル上に播種し,3-6日毎に8回継代することで1匹のマウスから100倍の細胞を回収可能であることを見出した.また継代を繰り返した後でも回収された細胞はP75,Snail,Twistといった神経堤細胞マーカー遺伝子の発現を認め,分化誘導により,ALP,OCN,OSX,RUNX2といった骨芽細胞マーカー遺伝子を発現した.さらに,石灰化促進培地で培養すると石灰化硬組織を形成した.神経堤細胞と上皮系細胞との上皮-間葉相互作用の解析をするためにエナメル芽細胞と神経堤細胞の共存培養を行った.7日間培養後の遺伝子発現を解析したところ,象牙芽細胞マーカー遺伝子であるDSPPとDMP1の発現を認めた.また共存培養細胞の免疫蛍光染色で象牙芽細胞マーカー遺伝子のDSPがエナメル芽細胞と神経堤細胞の接触部で確認された.以上から上皮-間葉の細胞の接触によって神経堤細胞が象牙芽細胞様細胞に分化したことが示唆された.今後は神経堤細胞がDSPP,DMP-1,DSPを発現したメカニズムの解析を接着因子も含めた細胞間の情報伝達系を踏まえて検討していく.また並行してエナメル芽細胞と神経堤細胞の共存培養によって得られた細胞塊を移植したmatri gelを頭蓋骨欠損部や口腔粘膜上皮へ移植し,組織形成の観察,組織塊の組織解析,遺伝子解析も行っていく.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012 その他
すべて 学会発表 (3件)