研究概要 |
本研究では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のセルフマネージメントに関する情報量が医療機関で差があるのか明らかにする目的で検討を行った。 COPDのケアを専門的に行っているカナダの呼吸器科外来(A)と、同じようにCOPDのケアを専門的に行っている日本の呼吸器科外来(B)、日本の総合病院呼吸器科外来(C)に通院中の安定期COPD患者184名(A:45名、B:105名、C:34名)を対象に行った。COPD患者のセルフマネージメントに関する情報量の評価にはLung Information Needs Questionnaire(LINQ)を用いた。 3施設における対象患者の平均年齢は、A:69.0±9.0歳、B:72.6±7.8歳、C:72.9±5.9歳であった。FEV1, %predictは、A:35.3±14.6%、B:72.6±7.8%、C:72.9±5.9%であり、Aが有意に低い結果であった(p<0.0001)。LINQスコアでは、A:3.9±2.6、B:6.3±2.6、C:9.8±3.6であり、3施設にて有意な差が認められた(p<0.0001)。FEV1, %predictとLINQスコアとの相関は認められなかった。LINQの項目では、薬、禁煙は3施設にて有意な差は認められなかったが、病気の理解、増悪の回避、運動、栄養は、A施設が有意に良い結果であった(いずれもp<0.05)。 3施設において患者の重症度が異なっていたが、重症度と患者の情報量との相関は認められず、医療機関においてCOPD患者のセルフマネージメントに関する情報量は異なることが示唆された。セルフマネージメントの項目では、病気の理解や増悪の回避、運動、栄養は、各施設の患者で情報量が異なっており、国内外の医療機関において同じ質のセルフマネージメント教育が提供されるプログラムが必要であることが示唆された。
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