退院支援を効果的・効率的に行うために病院でどのようなシステムの構築が必要か示唆を得るため、本研究では全国調査を行い、「病院の退院支援に関するシステム構築(以下、システム構築)」の実態を明らかにすることを目的とした。 方法は、全国の一般病床100床以上の病院2600か所の看護部長あるいは退院支援に関与する職員に対し、平成24年11月に郵送にて質問紙調査を実施した。 調査の結果、833施設から返送があり、831施設を分析対象(有効回答率32.0%)とした。退院支援部署を設置していたのは642施設(77.8%)で、退院支援看護師(DPN)を配置している病院は497か所(60.2%)であった。「システム構築」については、項目によって実施率に差があり(27.5~86.3%)、最多は「退院支援が必要な患者を特定するためのスクリーニング票の導入」であった。「病院の職員への退院支援に関する教育」については、「退院支援部署や退院支援専門スタッフの役割の説明」は508か所(62.7%)で実施していたが、「定期的な事例検討会の開催」や「特定の看護師を選抜した研修」など継続的で看護部全体の協力を要する項目については実施率が20.3~36.4%で低かった。また、先行研究にてDPNがシステム構築に多く関与していたため、「DPNの配置」について、「システム構築」と「病院の職員への教育」の実施状況との関連性を確認した結果、ほぼ全ての項目で有意に正に関連していた。そのため、DPNの個人特性やシステム構築の関与状況等についても確認する必要性が示唆され、今後DPNを対象とした調査を実施する予定である。 本研究を含め、システム構築に関する一連の研究結果から抽出された「システム構築に必要な要素」をもとに、病院の規模や特徴に応じたシステムのモデルを作成することで、効率的・効果的なシステムの構築に寄与できると考える。
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