研究課題/領域番号 |
23890225
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
森 大輔 朝日大学, 歯学部, 助教 (30610232)
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キーワード | ストレス / 老化 / BDNF / in situ hybridization / ELISA |
研究概要 |
これまでに、咬合不全が慢性ストレスとして作用し、海馬の器質的変化を引き起こし、学習認知機能を障害することが報告されており、また咬合不全が海馬での細胞新生機構を障害し、海馬への神経細胞供給量を減少させる結果、海馬の学習認知機能を著しく低下させることを明らかにしてきた。最近の研究により、ストレス条件下に置かれたマウスでは、神経細胞の成長に関与する脳由来神経栄養因子の発現状況が海馬での神経細胞新生機構に大きく関与していることが分ってきた。そこで、海馬歯状回における新生細胞の生存期間や細胞分化に影響を与えると言われている脳由来神経栄養因子にスポットをあて、その発現状態から咬合不全による海馬での細胞新生機構の障害機序を解明し、高齢期の咬合、咀嚼の維持が海馬機能維持に与える影響を明らかにしたいと考えている。 具体的な計画として、(1)9ヶ月齢雄性マウスに2週間咬合挙上処置を施した老齢咬合挙上マウスと、同齢のコントロールマウスとを使用し、脳由来神経成長因子のmessenger RNA発現をin situ hybridization法により検索し、咬合不全ストレスが脳由来神経栄養因子の発現に与える影響を定性的に解析する。(2)上記マウスの脳由来神経栄養因子のタンパク量をELISA法により測定し、咬合不全ストレスが脳由来神経栄養因子のタンパク発現量に与える影響を定量的に解析する。(3)血中カテコールアミン濃度を測定し、血中カテコールアミン濃度と脳由来神経栄養因子の動態との相関を調べる。以上の3実験を計画しており、申請時の予定では本年度は実験(1)および実験(2)の準備を計画していたが、(1)および(2)の実験はデータ抽出まで終了した。実験結果から咬合挙上ストレスが脳由来神経栄養因子の発現を抑制し海馬における神経細胞の生存や分化に影響を与えていることが解明できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、来年度までかかる予定であったELISA分析まで終了しており、結果も伴っているため、計画以上に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はストレス反応としての血中カテコールアミン濃度上昇が脳由来神経栄養因子の動態に影響を与えているといわれていることから、血液採取を行い血中カテコールアミン濃度の解析を行う予定である。
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