健康の社会的決定要因として、個人レベルの要因ばかりでなく、個人を取り巻く社会環境、とりわけ、地域に注目が集まっている。大小さまざまな地域単位(市町村や行政区、小学校区など)の特性が地域住民の健康と正の関連があることは知られている。しかしながら、それら地域単位の特性がどのように関連しあって健康に影響しているのか、またはどの大きさの地域単位の特性がより健康に効果があるのかについては、明らかにされてはいない。 それらの点を踏まえ、本研究では、大小さまざまな地域単位の特性を同時に考慮に入れるとともに、それらの地域単位同士がどのように関連しあって、地域住民の健康に対して効果を持つのかを明らかにすることを目的とした。 その目的を達成するために平成23年度は以下の2点を中心に研究を行ってきた。 第1に、地域単位の設定や概念的整理のため、地域と健康との関連に関する商業誌、学術的先行研究など文献を広く渉猟し、地域と健康に関する研究のための資料蒐集を行った。集めた資料は、電子ファイルとして保存することができた。また現在、ここで蒐集された資料をレビューし、どの大きさの地域単位がどれほど健康に関連しているのか、さらにはどの地域特性が地域指標として適切であるのかについて明確にする作業を行っているところである。 第2に、さまざまな地域の特性や、小学校区、投票区、町内会などさまざまな行政区に関する多様な情報を入手することを行った。具体的には、公開されている各自治体についての多種多様なマクロデータを収集することができた。また、いくつかの自治体を訪問し、地域固有の特性についての現地で確認することができた。
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