本研究ではアフィニティー精製でリガンドのスクリーニングを行うため、東京工業大学・半田宏教授の開発した磁性フェライトをポリGMAで被覆したビーズ(FG-ビーズ)を使用することにしている。ペプチドのビーズへの固定はアミノ基を有するペプチドのN'末端やペプチド中のリシンが用いられるが、本ペプチドにはリシンを含む為、ペプチドのN'末端への固定が好ましい本研究では部位選択性が必要となる。そこで、ビーズをペプチドのN'末端に固定する方法として、FG-ビーズのリンカーにトシル基と呼ばれるp-トルエンスルホニル基(P-H_3CC_6H_4S(=O)_<2->)を用いることとした。また、ペプチドのN'末端には、文献の結果を考慮しポリヒスチジン(His-His-His-His-His-His)を付加した。 トシルビーズとポリヒスチジン付加ペプチドの結合実験では、ビーズへのペプチド結合量が非常に少ないという結果が得られた。今後はビーズのリンカーをエポキシ基に変更して結合効率を改善することにしている。 上記に並行して、グルタチオン融合タンパク発現ベクターに、ペプチド配列をクローニングし、大腸菌BL-21を用いてタンパク質を発現させた。その後、グルタチオン・セファロース4Bカラムで精製し、N'末端とC'末端のシスチン間にジスルフィド結合を持たせるため、サイクライゼーション・バッファー内でインキュベートした。この方法によってGST融合ペプチドは作成できたため、今後はこれを用いたラット虚血心筋組織抽出液のアフィニティー精製も上記実験に並行して行うことにしている。
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