研究概要 |
本研究では、網膜摘出血管を用いて一酸化窒素(NO)産生におけるインスリンに対する反応を検討し、pre-capillaryレベルの網膜血管における高血糖とインスリン、NOおよび網膜循環との関係を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、インスリンによる網膜血管の一酸化窒素(NO)合成を検討した。 tissue-print法にて摘出したpre-capillaryレベルのラット摘出網膜血管を対象とした。インスリン投与群(100nM,5.5mM glucose,n=17)、high glucose群(20mMg glucose, n=5)、high glucose+インスリン投与群(n=5)、対照群(n=7)の4群に分け、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSM 510 META, Carl Zeiss)を用いて、DAFによりNOを蛍光標識しtime-lapse観察した。インスリン投与群では有意に蛍光が増強し(P=0.002,t-test)、high glucose群では蛍光強度は逆に有意に減弱した(P=0.002,t-test)。対照群では有意な変化はみられなかった。インスリン投与群と対照群の間に有意差がみられた(P=0.002, Scheffe)。high glucose+インスリン投与群ではインスリン投与群でみられたような蛍光増強はみられなかった。対照群、high glucose、high glucose+インスリン投与群の問に有意差はみられなかった。インスリンは網膜血管のNOレベルを増加させるが、high glucose培地はその変化を抑制した。以上よりインスリンはNOを介して網膜微小循環に関与していると考えられた。
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