研究課題/領域番号 |
23890234
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
服部 耕治 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (30382310)
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キーワード | 関節軟骨 / 超音波 / 造影剤 |
研究概要 |
これまで関節軟骨を定量的に評価することは困難であった。整形外科領域では、関節鏡による軟骨表面の観察や、probe hookを押し当てることでの軟骨のかたさ判定、あるいは病理組織生検といった侵襲的方法による評価しかなかった。我々はこれまで超音波を用いた関節軟骨定量評価法を研究・開発してきた。In vitro studyでウェーブレット変換を用いた超音波反射波解析を行い、超音波を用いた関節軟骨の定量化に成功した。さらに、単一の超音波素子を搭載した超音波プローブを作製し、ヒト生体関節軟骨を評価できることを確認した。これまでの研究助成により、測定機器の改良に努め、操作性が容易な機器となった。 しかし、超音波は大部分関節表面(関節軟骨と検査に使用する生理食塩水との境界)で反射されるため、関節軟骨の表層の状態のみを定量評価できるにすぎず、関節軟骨深層評価を行うことができない。そこで、それらの問題を解決すべく、超音波用造影剤を活用した関節軟骨定量評価が可能かどうか検証する実験を計画した。 実験のために使用を計画した医療用造影剤のうち、ペルフルブタンは購入できたが、ガラクトースパルミチン酸混合物は入手できなかった(市場への供給不足により、病院施設へ優先的に供給されたため)。それなので、ペルフルブタンのみで実験を開始した。すでに作製されている機器での計測を開始したが、造影剤の周囲への遊離・拡散が予想していたよりも早く、アーチファクトが著しくなり、データ取得ができなかった。そのため、灌流法により遊離造影剤を排出させて測定する方法へ変更を計画した。試料の超音波計測を行う実験槽に生理食塩水で灌流出来る装置を作製した。その装置を用いた実験を開始し、現在データを取得中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究のために使用を計画した造影剤(医療用製品)が、市場から不足してしまったために、臨床病院への支給が最優先で、研究目的のための購入が長期間できなかったため。また、過去の研究で使用していた測定用の機器をそのまま使って測定しようとしたが、造影剤の周囲への遊離・拡散が予想していたよりも早く、アーチファクトが著しくなり、データ取得ができなかったため。測定用機材の改良と新たな作製をおこなったため。
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今後の研究の推進方策 |
23年度末の時点で、ようやく測定機材の改良が終了したため、24年度になって新たに計測を開始した。実験のために使用を計画した医療用造影剤のうち、ペルフルブタンについては、購入することができたが、ガラクトースパルミチン酸混合物の入手は24年4月現在も困難である。そのため、2剤を比較検討する実験については、市場における入手状況によって、できないことがある。 測定機材の改良も終了し、ペルフルブタンを用いた実験では、基礎的データを収集している状況である。現行で研究を推進していく予定である。
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