本研究課題はミトコンドリア内膜に存在するミトコンドリア内膜タンパク質複合体がmtDNAの維持にどのように働いているかを明らかにすることを目的とする。平成24年度は当該タンパク質複合体とミトコンドリアヌクレオイドとの物理的相互作用を明らかにするために、以下のようにショウジョウバエS2細胞内のタンパク質相互作用検出系を構築した。 1.S2細胞の使用:ショウジョウバエ由来の培養細胞であるS2細胞はRNAiが非常に効果的な細胞であり、取り扱いも容易である。本研究により純真学園大学および共同研究先の九州大学臨床検査医学分野においてS2細胞の培養系およびノックダウン実験系を構築する事が出来た。この系はフィンランドにおいて研究代表者が構築した系と再現性があり、国際共同研究についても一層の進展が期待できる。 2.共免疫沈降条件の開発:ミトコンドリア画分の調整法の検討をおこなった。調整法については分画遠心法を採用し、ミトコンドリア画分調整の至適化を行った。S2細胞に至適化した条件を決定した。 3.免疫沈降に使用する抗体:ミトコンドリア核様体(ヌクレオイド)に対する抗体としてヌクレオイドの主要構成タンパクであるTFAMに対する抗体、および対象となるタンパク質複合体のサブユニットに対する抗体を入手した。それら抗体の検出条件の至適化を行った。 4.沈降たんぱく質の検出と同定:現在、上記の抗体を用いた共免疫沈降条件の至適化を行っている。
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