研究目的 体外設置型、空気駆動式であるニプロ補助人工心臓(ventricular assist device : VAD)の駆動チューブの外れや屈曲は血液ポンプの駆動停止に直結するが、これらの異常を検知する機能がない駆動装置(VCT-50x)が臨床で用いられている。本研究では、ニプロVADの血液ポンプおよび駆動チューブの振動に着目し、振動センサーを用いてニプロVADの駆動状態をモニタリングすることが可能か検討を行った。 研究方法 振動センサーを駆動チューブに取り付けてニプロVADの駆動状態を監視する装置を試作した。その後、モック回路を用いて、(1)駆動チューブを屈曲させたとき、(2)駆動チューブを駆動装置から外したときにおける試作機の動作について確認を行った。併せて、離脱目的でオフテストを施行する患者の駆動チューブに振動センサーを取り付け、ポンプ駆動停止中における試作機の動作について確認を行った。 研究成果 モック回路を使用した実験から、駆動条件や屈曲位置に関係なく、駆動チューブが駆動装置から外れたり完全に閉塞したりしたときはもちろんのこと、駆動チューブの不完全な閉塞も検知させることが可能であることが確認された。オフテスト施行中の患者で装置の動作を確認したところ、振動の検知に自己心の拍動の影響は全く受けないことが確認された。以上のことから、振動センサーを用いてニプロVADの駆動状態を監視することは可能であることが示唆された。
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