研究課題/領域番号 |
23H00038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
待鳥 聡史 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (40283709)
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研究分担者 |
彦谷 貴子 学習院大学, 付置研究所, 教授 (00286626)
井上 武史 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40432405)
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40452924)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
石原 佳代子 京都大学, 法学研究科, 講師 (40908133)
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
境家 史郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70568419)
曽我部 真裕 京都大学, 法学研究科, 教授 (80362549)
MCELWAIN KENNETH 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80768896)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 憲法学と政治学の協働 / オンライン・サーヴェイ実験 / 規律密度 / 政治制度 |
研究実績の概要 |
本年度は5ヶ年にわたる本研究課題の初年度であり、憲法学と政治学の研究者による共同研究ということもあって、基本的な概念や方法論の共有に多くの時間と労力を振り向けた。とりわけ、憲法学において馴染みのある手法ではないオンライン・サーヴェイ実験の考え方や方法について、メンバー間の共有知識とできたことは、今後のためにも大きな成果であった。 また、年度半ば以降にはオンライン・サーヴェイ実験を2回にわたって実施したことをはじめ、いくつかの具体的な成果も得られた。 参加メンバーの主な個別業績としては、横大道の論文「憲法の規律密度と政治制度の構想」や砂原の論文"Electoral System Reform and the Politics of Policy Change"、竹中の国際ワークショップ報告などがある。また、マッケルウェイン・境家・砂原によるオンライン・サーヴェイ実験の成果も、2024年度には研究論文や国際学会報告の形を取ることができると見込んでいる。オンライン・サーヴェイ実験は本研究課題の期間中、複数回にわたって行う予定だが、質問票設計のブラッシュアップもそれと並行して進める。 翌年度以降につながる特筆すべき事柄として、憲法学の国際学会 International Society of Public Law (ICON-S) の2024年度年次大会に、本研究課題を基礎としたパネルを応募し、採択されたことが挙げられる。国際学会での論文報告は本研究課題の主要な取り組みとして申請段階から掲げてきたところであり、このパネル採択は第一歩となるであろう。報告論文は修正等を経て国際査読誌などに投稿を予定しており、本研究課題の順調な進捗に資することにつながるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題が1年度目終了時点において「おおむね順調に進展している」と考える理由は、大きく3つある。 1つには、憲法学と政治学という異なったバックグラウンドを持つ10名の研究者が共同で本研究課題を推進するために必要不可欠な、基本概念や分析手法の共有が大きく進展したためである。とりわけ、オンライン・サーヴェイ実験の意義や手法についての理解が深まったことは、2024年度に行う予定の国際学会報告の準備として重要であった。 もう1つには、オンライン・サーヴェイ実験が実際にも行われたことである。オンライン・サーヴェイ実験は、質問票設計や予備調査(パイロット調査)など、適切に実施するためには丁寧な工程管理が不可欠だが、本研究課題では2023年6月頃からこれらの作業に着手し、複数回の質問票設計会合を開催するなどして、順調に進行させることができた。 そして第3には、本研究課題の具体的な成果が出始めたことがある。研究論文や国際学術ワークショップ報告など、まだ初期の萌芽的な成果という色彩は強いものの、本来はオンライン・サーヴェイ実験の結果などが大きな意味を持つ本研究課題において、主に理論面について初年度から成果が出たことは想定以上だったとさえいえよう。 ただし、主に事例分析については安全保障に関して基本事項の整理やそれに基づいた研究報告などが行われたにとどまっており、2年度目以降にはさらなる加速が求められるところである。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度目に当たる2024年度以降においては、初年度に既に着手したオンライン・サーヴェイ実験の初回結果を取りまとめ、それに基づく論文や学会報告等の成果を生み出していくとともに、第2回以降のための質問票設計のブラッシュアップなども不断に進めていく。 また、初年度の進捗が相対的に見ればやや緩慢であった事例分析について、国際学会報告などが予定されていることもあり、それらを積極的な契機として加速を図り、オンライン・サーヴェイ実験やそれに基づく計量データ分析との足並みを揃えられるようにする。 あわせて、最終成果公表を念頭に置いた、国際学術誌への論文投稿や国内での書籍出版の検討作業などにも着手することで、具体的な目標を意識した研究の推進を図る。
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