研究課題/領域番号 |
23H00066
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
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研究分担者 |
中山 あおい 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00343260)
櫛引 祐希子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10609233)
橋本 健一 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20581036)
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (30110795)
臼井 智美 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (30389811)
李 址遠 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30802128)
石橋 紀俊 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50274999)
米澤 千昌 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60880622)
王 林鋒 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 准教授 (70806322)
小林 和美 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90273804)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 外国人児童生徒教育 / 日本語教育 / 社会的包摂 / 学習言語 / 多文化理解 / 教員養成 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトは国内調査部門・海外調査部門・研究開発部門という,3部門体制で研究を進めてきた。以下,各部門の研究実績をまとめる。 国内調査部門では,大阪市教育委員会の協力の下,2023年10月ー2024年2月に,「外国にルーツのある子ども達の社会的包摂に関する調査」を実施した。調査は,大阪市内集住地域から小学校8校,中学校4校に,また,比較対照するために,散在地域から小学校4校,中学校2校の児童生徒が回答した。調査は「学校と生活に関する調査」と「言葉の知識に関する調査」の2種類からなっており,合計2,307名(CLD児282名,母語児2025名)の回答をもとに,現在分析を進めているところである。 海外調査部門では,外国にルーツのある子どもの教育について,ドイツ,オーストラリア,台湾の文献調査を行うとともに,台湾の高雄師範大学と小中学校での訪問調査(3月17日~20日)を実施した。台湾では婚姻移民の増加を背景に,「多元文化」教育を教育政策に掲げた母語教育等の支援が進んでおり,両親とも外国籍の子どもには大学と学校と地域の連携による第二言語としての中国語教育がシステマティックに実施されている実態が明らかになった。その研究成果は『大阪教育大学紀要』第73巻で公表する予定である。 研究開発部門では,大阪教育大学の教養科目にあたる基盤教養科目の改正と合わせ,日本語指導が必要な外国人児童生徒等に適切な指導が行える教員・支援員を養成する副専攻プログラムの充実化を図るために,子どもの発達段階に応じた教育方法や多文化社会で育つ子どもへの理解が深められる科目を設置した。また多様化する日本語学習者の事情と年少者日本語教育の理論と実践について集中的に学べるよう,日本語教育学に関わる科目について検討を行い,履修する学生への過度な負担を軽減するために必修科目を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内調査については,当初予定よりは実施時期が1か月程度遅れたものの,規模・内容とも当初予定の通り調査が行われた。また,2024年実施予定の教員・日本語教師・支援員,および教員養成課程学生を対象とした調査についても,先行研究のレビューをもとに,質問紙作成の準備を進め,予備調査も実施している。海外調査については,台湾調査を実施し,報告書としてまとめる準備を進めているだけでなく,2024年秋にはシンポジウムを開催する予定である。さらに,移民や難民を多く受け入れてきたドイツの教員養成についての調査報告を第33回教師教育学会で報告している。研究開発部門も,国内調査部門,海外調査部門の成果も取り入れながら,大阪教育大学副専攻「外国にルーツのある子どもの教育プログラム」について,カリキュラムの整備を行うことで,大学教員養成課程における多文化理解のモデルプログラム開発のための制度的な基盤・プラットフォームを確保することができた。
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今後の研究の推進方策 |
国内調査については,2023年度に実施された国内調査の分析を進め,成果報告書としてまとめる予定である。また,教員養成課程学生を対象とした調査および,教員・日本語教師・支援員を対象とした調査を実施する。実施に向けては,教育委員会と協議を進めているところである。 また,海外調査については,台湾調査に引き続き,日本と同様の人口動態上の課題を抱えた韓国,および移民や難民の急増による多様化に対応してきたフィンランドを対象とした調査を実施する。調査内容を現在詰め,協力先の大学,研究者との間で現在スケジュールを調整している。 研究開発部門では,これらの部門の成果を視野に入れつつ,教員養成カリキュラムや現職教員向け研修教材の開発を進める。
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