研究課題/領域番号 |
23H00099
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中野 貴之 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00435827)
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研究分担者 |
青木 徹 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (10283350)
本田 善央 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60362274)
牧野 高紘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, 主幹研究員 (80549668)
若林 源一郎 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (90311852)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | BGaN / 中性子検出 / III族窒化物 / 半導体検出器 / イメージングセンサー / 窒化ガリウム / 疑似直接検出 |
研究実績の概要 |
BGaN中性子検出器を用いて超高解像度イメージングセンサーの実現に向けた研究開発を推進する。中性子捕獲元素である10B元素を含むBGaNは、中性子を半導体層中で捕獲と検出ができる疑似直接検出可能な新しい検出器として提案および開発を行っている。本研究では、BGaN中性子検出器を用いた超高解像度イメージングセンサーを実現するために、高品質BGaN半導体結晶の作製方法の開発と、BGaNイメージングセンサーの開発と、BGaN検出器による疑似直接検出の検出特性の詳細評価を実施することで、BGaN高解像度イメージングセンサーの実現を目指している。 BGaN結晶成長技術開発においては、下地の結晶層が与える影響を評価し、n-GaN層を下地にした結晶構造を用いることで、結晶性の向上が確認された。特に、BGaN層が薄い場合に結晶性の向上が顕著であり、1μmのBGaN成長ではX線ロッキングカーブの半値幅がBGaN0002面で500arcsecを切ることが可能となった。また、膜厚の依存性も非常に大きく、膜厚の増加とともに結晶性の低下が確認されている。 各膜厚で作製したBGaN検出器を用いて中性子検出特性評価を実施したところ、厚膜化によるB含有量の増加の影響よりも結晶性向上によるS/N比の向上が検出特性に大きな影響を与えており、結晶性向上が最優先事項であることが確認された。 イメージングに必要なBGaN膜厚として中性子捕獲反応で生成する荷電粒子の飛程から5μm以上をターゲットにしてきたが、PHITSを用いたシミュレーションにより、1μmでも中性子・ガンマ線弁別が可能であることが示唆された。この結果をもとに1μmから5μmのBGaNデバイスを作成し評価を実施したところ、1μmのデバイスでも結晶性が良いことで十分な特性が得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結晶成長技術開発およびデバイス開発において膜厚依存などを明らかにし、今後の指針を得ておりBGaNイメージングセンサーに向けた開発が十分に進んでいる状況である。 諸特性評価なども順調に進んでおり、計画を達成するために順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
検出特性において結晶性の影響が非常に大きいことが明らかになっており、結晶性向上を開発の主体としつつ各要素技術開発を実施する。結晶成長技術開発では、歪制御による結晶性向上を検討し、下地層にAlGaN層を用いることで引っ張り歪ではなく格子整合した無歪あるいは圧縮歪のBGaN層を形成することで、結晶性向上についての検討を実施する。 イメージセンサーの作製に関しては初期検討となるイメージングセンサーの試作にとりかかり100μmピッチでのフリップチップボンディングをサファイア基板を用いた素子により実施する。裏面電極の代わりに表面の両サイドに下部層電極を接着できる構造を作成して、初期イメージングセンサーの実現を目指す。 また、随時作製したBGaN検出器を照射施設において、様々な照射を実施することでエネルギースペクトルを得て、詳細な中性子検出メカニズムについての知見を得て、デバイス開発へのフィードバックを実施することでBGaN中性子イメージングセンサー実現に向けた開発を推し進める。
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