| 研究課題/領域番号 |
23H00148
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
奈良岡 浩 九州大学, 理学研究院, 教授 (20198386)
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| 研究分担者 |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10284522)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| キーワード | 小惑星リュウグウ / 小惑星ベンヌ / 有機化合物 / 水溶性塩 / 光学異性体分析 / 質量分析 |
| 研究実績の概要 |
本年度は炭素質小惑星リュウグウ試料に引き続き、アメリカNASAのOSIRIS-REx計画によって得られた炭素質小惑星ベンヌ試料の無機・有機イオンと有機分子の分析を行い、多くの研究成果を得た。ベンヌ試料にもアミノ酸や核酸塩基を始め様々な有機分子の存在を解明し、シンポジウムや論文などで発表を行った。ベンヌ試料にはリュウグウ試料に比較してアンモニウムイオンや窒素を含む化合物が多いなどの特徴があった。また、二次元クロマトグラフィー蛍光検出分析によって、アミノ酸とヒドロキシ酸の同時分析を行い、光学異性体分布も明らかにした。さらにベンヌ試料の鉱物組成の違いによって、リンを含む水溶性塩が存在するなど新たな発見もあった。これらは小惑星母天体における岩石鉱物と水の反応が水溶性塩と有機化合物の化学進化に大きく影響していると理解できる。 さらに種々の炭素質隕石も分析することによって、小惑星試料との有機分子分布の違いも明らかにすることができた。特に母天体での水質変成度の増加に伴って、含窒素環状化合物の炭素鎖伸長が起こることを明らかにした。リュウグウとベンヌ試料中の含窒素環状化合物の分布はこれらの水質変成度から予想される分布と一致しており、炭素質隕石と炭素質小惑星における有機化合物の合成過程の共通性として認識できた。 小惑星試料の分析を通して、国内の研究機関の研究者ばかりではなく、NASAゴダード宇宙飛行センターなどの海外研究者と国際共同研究を実施し、成果を上げることができた。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
1: 当初の計画以上に進展している
理由
小惑星リュウグウおよびベンヌのリターン試料を用いて順調に研究成果が得られているばかりではなく、新たに化学進化にとって重要な水溶性イオン化合物を発見できたため。
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| 今後の研究の推進方策 |
小惑星試料と炭素質隕石を用いて有機分子と水溶性イオンを分析することにより、引き続き原始太陽系における化学進化を理解する。予想以上の成果が得られているので、今後の発展を考えた新たな研究計画も模索する。
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