研究課題
複数種類のイオン・神経伝達物質の挙動を計測できるケミカルセンサと細胞に加わる応力(剪断応力、垂直応力)、細胞外微小環境(酸素、イオン)を同時に動画像として可視化できるフィジカル・ケミカルイメージセンサを実現し、細胞・生体組織の動きと細胞外のイオンなどのダイナミックスを時空間情報を保ったまま可視化できるシステムを目指す。(1)イオン等による電圧変化および応力による電圧変化を高精度に検出するCMOS電位検出アレイの高性能化を目指す。本提案では、センサの低雑音化のために信号累積機能を内蔵した、画素ピッチ5ミクロン、256×256画素のアレイの設計を行った。さらに、信号の低雑音化も目指しディジタル回路を内蔵した。また、各イオン検出部と応力検出部を分けて加工できるように、センサ間にクロストーク抑制のための緩衝地帯を配置する構造とする。(2)上記の高性能電位検出アレイが実現できるまでは、これまで提案者実現したCMOS電位検出アレイ(2ミクロン、5ミクロンピッチ)を用いてイオン検出部形成技術を確立する。イオン検出部として光硬化性樹脂を母材とすることで、フォトリソグラフィ技術により画素毎に異なるイオン検出センサを実現する技術を検討する。溶存酸素検出部は酸化イリジウム(IrO)により実現を図る。(3)これまでの予備検討では、2ミクロンピッチのCMOS電位検出アレイ上にポリフッ化ビニルデン(PVDF)圧電薄膜を転写し、その上部にSU8で形成した高さ6ミクロン、底辺部8ミクロン□の構造体を形成することで10mNの剪断応力が検出できている。SU8構造体と剪断応力検出を実施した。
2: おおむね順調に進展している
(1)CMOS電位検出センサアレイの高性能化については、センサの微細化と共に、高感度化を目指し、信号の累積構造、さらにはセンサ出力のディジタル化を行い試作が完了したからである。(2)電位検出アレイ画素上へイオン検出部、溶存酸素検出部形成技術確立については、フォトリソグラフィ技術により、溶存酸素部およびイオン検出部を市松模様に製作することに成功した。酸素検出部であるIrO薄膜はエッチングではなくリフトオフプロセスで実現できている。イオン検出部はフォトレジストをベースにイオノフォアを内蔵させ他構造で実現できたからである。(3)画素毎に形成する応力検出技術の基礎検討については、応力検出部にSU8で形成した構造体に、一定の応力を加えて、その応答感度を算出できた。結果として数マイクロニュートンの剪断応力が検出できている。一方目標には後1-2桁感度を上げる必要があるが、PVDFの感度向上、およびSU8構造体の形状を検討することでの可能性を見いだせたからである。
(1)CMOS電位検出センサアレイの高性能化については、昨年度製作できたチップの評価を行い所定の性能が出るか検証し、複数のイオンとともに応力が検出に展開する。(2)電位検出アレイ画素上へイオン検出部、溶存酸素検出部形成技術確立については、上記のセンサが実現できるまで、今年度と同様に以前製作したチップ上への形成技術確立する。昨年度フォトリソグラフィで実現した、それぞれのセンサ部の性能評価と他のイオンとの選択性を確認する。(3)画素毎に形成する応力検出技術の基礎検討については、PVDFの性能の向上(薄膜成膜時の条件がポイント)と構造体の改善(構造体の高さがポイント)に着目し目標と性能が実現できるか検討を進める。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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