研究課題/領域番号 |
23H00207
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯塚 悟 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40356407)
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研究分担者 |
廣井 悠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50456141)
吉岡 英樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90462564)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 火災進展予測 / データ同化 / リアルタイム環境情報 / 計算流体力学 |
研究実績の概要 |
本研究では、火災発生時にドローン撮影や携帯可能なサーモグラフィカメラ・風速計により現場のリアルタイム環境情報を計測し、それらの情報を火災シミュレーションモデル(火災延焼メカニズムのより正確な再現が可能となる計算流体力学ベースのシミュレーションモデル)にデータ同化しながら火災進展予測を行うシステムの開発を目的としている。2023年度は、データ同化手法としてナッジングを導入した場合の開発検討を行った。同化するデータ(環境情報)としては、名古屋市消防局主導で実施した屋外火災燃焼実験(木造プレハブ室の火災燃焼実験)の際に測定した火災発生室の外表面温度データ(1点)と周辺の風速データ(3点)を用いた。 本火災燃焼実験を対象とした火災シミュレーションにおいて、データ同化なし(Case 1)、温度のみデータ同化あり(Case 2)、風速のみデータ同化あり(Case 3)、温度+風速のデータ同化あり(Case 4)のケーススタディを実施し、気温の鉛直断面分布を比較した結果、火災発生室に比較的近い場所では、温度と風速の両方をデータ同化したCase 4の標準偏差(鉛直断面内平均気温からのずれ)に対するCase 1からCase 3の標準偏差の変化の比率が-2%から+1%以内であったのに対し、火災発生室から比較的離れた場所になると、その変化の比率が-2%から+4%となり、やや拡大した。火災発生室に比較的近い場所では、データ同化なしのCase 1の標準偏差が最も小さく、温度と風速の両方をデータ同化したCase 4の標準偏差に対する変化の比率(-2%)が最も大きくなったが、火災発生室から比較的離れた場所になると、Case 1の標準偏差は風速のみをデータ同化したCase 3の標準偏差と同じとなった。限られた環境情報のデータ同化では、シミュレーション精度向上に対する効果が限定的になることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
屋外火災燃焼実験は年1回の計画であるが、2023年度は無事に実施され、データ同化のための環境情報計測も無事に完了し、データ同化して火災進展予測を行うシステムの開発検討を予定通りに行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、年1回実施予定の屋外火災燃焼実験における環境情報の計測点数をさらに多くし、環境情報の計測点数の大小がデータ同化の成否に及ぼす影響をさらに詳細に検討したい。
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