研究課題/領域番号 |
23H00231
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 俊洋 東北大学, 工学研究科, 教授 (60451530)
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研究分担者 |
XU XIAO 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20781389)
赤嶺 大志 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (40804737)
塚田 祐貴 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00620733)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | マルテンサイト変態 / ナノ析出 / 形状記憶合金 |
研究実績の概要 |
マルテンサイト変態は母相とマルテンサイト相の間に10%程度の大きな変態歪を伴い、変態が不可逆な材料では高強度化に、可逆な材料では形状記憶として利用でき、材料特性の高機能化に有用な相変態である。しかし、変態可逆性の制御は容易ではない。本研究では、ナノ析出物によりマルテンサイト変態様式を不可逆から準可逆や可逆へ自在に変化させる学理の確立を目指して行った。この材料設計思想は、合金系を変えることなくナノ析出組織のみで変態可逆性とそれに伴う材料特性を制御できる点に特徴を有する。さらに、学理に基づいてナノ析出組織を設計し、可逆変態を利用した超弾性疲労特性に優れる形状記憶合金の開発や、準可逆変態を利用した変態ヒステリシスが広く締結力を付与可能な形状記憶合金の開発を行った。今年度は以下についての成果を得た。 1.合金設計:熱力学データベースを用いた状態図計算により合金設計を行った。Fe-Mn-Al-Ni系、Cu-Al-Mn-Ni系、Cu-Zn系について、第二相の析出温度と相分率、マルテンサイト変態を考慮しながら合金設計を行った。 2.相変態調査:合金組成や熱処理条件を様々に変化させたCu系、Fe系試料のマルテンサイト変態温度を、熱分析、電気抵抗や磁化測定により調査し、組成依存性を明らかにした。特に、Cu-Al-Mn系では約50Kまでの低温において熱的マルテンサイト変態を得ることができた。 3.ナノ組織:ナノ組織を観察するための実験条件を検討し、設計したナノ析出組織における析出物の構造同定とサイズ・数密度・組成の定量評価ならびに整合界面の構造解析をSEMにより行った。 4.組織シミュレーション:ナノ析出物を有するFe-Mn-Al-Niのマルテンサイト変態のフェーズフィールドシミュレーションを行った。母相・析出物の格子定数を実験により決定し、格子歪の影響を考慮しながら組織シミュレーションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱力学計算による合金設計に基づき試料を作製し、マルテンサイト変態の組成依存性を明らかにでき、予定通りに進捗している。また、SEMによるナノ組織の観察やフェーズフィールドシミュレーションによる組織シミュレーションも予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を活かし、ナノ組織の役割を明らかにしていくと共に、機能性の評価を実施していく予定である。
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