研究課題/領域番号 |
23H00268
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
伏屋 雄紀 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00377954)
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研究分担者 |
白石 誠司 京都大学, 工学研究科, 教授 (30397682)
平原 徹 東京工業大学, 理学院, 教授 (30451818)
酒井 英明 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20534598)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | スピン変換 / スピン軌道結合 / g因子 / ビスマス / p電子系 |
研究実績の概要 |
本研究では,目的を達成するために(1)Biと(2)ポストBi物質(IV-VI族半導体と層状ディラック物質)の2系統を平行して研究を進めている. (1-1) Biにおいてg因子の異方性を考慮したスピンホール効果の計算を行った.g因子およびその異方性を,独自に開発したπ-matrix法を用いて計算した結果,Biのスピン変換効率を定量的に求めることが出来た.スピン流の定義の違いによるスピンホール伝導度計算の違いを明らかにし,スピン磁気モーメントの流れに基づく定義が実験結果と矛盾しないことを明らかにした. (1-2) キャリア密度変化に由来する弾性抵抗の理論の基本的枠組みを構築した.あわせて,Biにおいて弾性抵抗の測定を行った.その結果,応力によりバレー自由度が制御できることを明らかにした.さらに,第一原理計算に基づいてバンド構造の一軸応力による変化を計算し,実験で得られた弾性抵抗の変化がキャリア密度の変化で説明できることを明らかにした. (2-1) 二次元ビスマス層を有する物質系の基本物質であるEuMnBi2において,g因子のフェルミエネルギー依存性を量子振動測定により解明した.フェルミエネルギーがディラックバンドの電荷中性点に近づくと,g因子が増大することを明らかにした.得られた成果を論文として発表した. (2-2) in situ ホール効果測定システムを立ち上げ,磁性トポロジカル絶縁体ヘテロ構造MnBi2Te4/Bi2Te3の磁化特性の評価を行った.基板とBi2Te3の界面におけるBi原子1層の有無により,観測される異常ホール効果が異なり,Biのスピン軌道結合由来の異常ホール効果が起きることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,BiとポストBi物質の双方において,実験・理論ともに研究を進めることができた.さらに,以下の3点は当初計画を上回る成果として挙げることが出来る: (i) 弾性抵抗研究の基礎となる理論を構築することができた.(ii) 層状ディラック物質においてg因子のエネルギー依存性を解明した.(iii) ポストBi物質として,新たに磁性トポロジカル絶縁体ヘテロ構造を加え,スピン軌道結合由来の新しい現象を見出せた. 以上のことから,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までにある程度結果が得られてきているので,今後は得られた実験データや理論結果を整理し,統一的解釈を与え,できるだけ速やかに論文としてまとめる.具体的には,次の項目を計画している:(1-1) Biのスピンホール効果の定量的予測,(1-2) Biの弾性抵抗の理論および測定,(2-1) 層状ディラック電子における応力効果の解明,(2-2) トポロジカルヘテロ結合と異常ホール効果の測定および理論. さらに,当初計画に沿って次の研究を予定している:(1-3) Bi(111)薄膜に電子ドープしてg因子を制御しながらスピン変換を測定する,(2-4) 層状ディラック電子のg因子の実験的決定を目指し,(角度依存)量子振動の精密測定を行う.
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