研究課題
基盤研究(A)
本研究は、二つの異なる有機化合物に偏在するC(sp3)- H結合のうち、ある特定の結合の選択的切断と続くクロスカップリングによって生成物を導く反応を達成したいとしている。反応のトリガーとして光と一電子移動を促進できる遷移金属錯体あるいは塩との組合せによるラジカル種の発生と制御が鍵である。
これまでの合成反応では、ある特定の官能基を軸とした結合の切断と形成によって期待の生成物を導くことが常套であった。一方、本研究では、水素のみの発生を経由した結合形成反応の開拓を目指している。用いる反応剤の新しい組合せを特定し、この反応が達成されれば、新反応に高い汎用性が付与されるとともに、分子内電荷移動やラジカル種の発生と制御に関する新たな一般的概念の創出も期待される。