研究課題
基盤研究(A)
2つの励起三重項から成る三重項ペアは、低エネルギー光を高エネルギー光に変換するフォトン・アップコンバージョンの重要な中間体である。応募者らが独自に展開した理論的予測では、三重項ペアの構造とエネルギーレベルの制御によって従来のスピン選択則を越えたコンバージョン効率が得られることが見込まれ、その予測に基づいて並行配位型ダイマーを分子設計・新規合成することを提案している。
多重励起子の学理探究は独創性が高く、新しい光機能材料の創成に貢献することが期待できる。アップコンバージョンによるより長波長側の太陽光をエネルギーとして利用する本研究は、太陽光蓄熱システムや人工光合成系と相補的に作用し、より効率的なエネルギー変換の実現を担う可能性がある。また、溶液中における量子ビーティング発光の実現は超高感度な量子センシング技術の発展に繋がると期待できる。