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2023 年度 実績報告書

宿主侵入菌に対する腸肝脳相関の解明と消化器免疫難病の治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 23H00425
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

金井 隆典  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40245478)

研究分担者 寺谷 俊昭  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (40624408)
三上 洋平  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (80528662)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード腸内細菌 / 炎症性腸疾患 / 原発性硬化性胆管炎
研究実績の概要

腸内細菌は、腸管疾患だけでなく中枢神経系疾患・肝疾患・皮膚疾患など腸管外病変形成においても重要な役割を担う。腸内細菌による標的臓器の免疫機構の介入には、いくつかのルートが想定され、大半の研究は細菌関連因子が血流にのることを前提とする一方、申請者は独自解析により腸内細菌の「所属リンパ節への感染」と「神経回路の変調」が腸内細菌による病態制御の本質であることを報告してきた。そこで、本研究提案では、消化器免疫疾患特有の腸内細菌叢が宿主免疫と神経系を介して腸管および腸管外疾患形成に及ぼす影響を分子レベルで解析し、新たな「細菌-腸-脳相関」概念を免疫難病や悪性腫瘍の新規治療法開発に繋げることを目的とする。
本年度は、腸内細菌が消化管や肝臓の神経を刺激する機構を解明するために、消化管(胃・小腸・大腸)および肝臓より異なる色の蛍光標識されたトレーサーを用いて逆行性トレーシング実験を行い、NGにおける神経細胞を消化器支配臓器別に色分けする系の樹立に成功した。また、FACSソーティングや、遺伝子発現解析のために、NGの神経細胞の単離技術の向上が必要であり、コラゲナーゼ、ディスパーゼなどの濃度や反応時間を調整し、神経細胞率の向上の予備検討を実施した。また、体内侵入菌であるKlebsiella pneumoniae (KP)に対するファージ療法の基盤的検討として、ファージを投与したマウスにおけるKPの殺菌能を検討し、ファージ療法の妥当性を検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

逆行性トレーシング実験、迷走神経頸部神経節の神経細胞の単離技術の向上、体内侵入菌であるKlebsiella pneumoniaeに対するファージ療法の基盤的検討、と当初予定していた主目標を達成し、結果の一部を論文報告した(Ichikawa M, Nat Commun 2023)。

今後の研究の推進方策

前年度までの検討により、腸内細菌が消化管や肝臓の神経を刺激する機構を解明するために、消化管(胃・小腸・大腸)および肝臓より異なる色の蛍光標識された化学物質を用いた逆行性トレーシング実験を行い、NGにおける神経細胞を支配臓器別に色分けする系の樹立に成功しており、更なる機能解析のために、引き続きNGの神経細胞の単離技術を向上し、Bulkもしくは1細胞レベルでのNGの遺伝子発現解析を行うことを予定する。また、Klebsiella pneumoniae (KP)を標的としたファージ療法のために、In vitroにおけるファージのKPに対する殺菌能の改良を目指すこと、さらに、マウスにおけるファージの経口および経静脈的投与を行なった際のKPの殺菌能を検討し、ファージ療法基盤データを蓄積する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Downregulation of chemokine receptor 9 facilitates CD4+CD8αα+ intraepithelial lymphocyte development2023

    • 著者名/発表者名
      Ono Keiko、Sujino Tomohisa、Miyamoto Kentaro、...、Kanai Takanori
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: 5152

    • DOI

      10.1038/s41467-023-40950-2

  • [雑誌論文] The gut microbiota-induced kynurenic acid recruits GPR35-positive macrophages to promote experimental encephalitis2023

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto Kentaro、Sujino Tomohisa、...、Kanai Takanori
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 42 ページ: 113005~113005

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.113005

  • [雑誌論文] D-amino Acids Ameliorate Experimental Colitis and Cholangitis by Inhibiting Growth of Proteobacteria: Potential Therapeutic Role in Inflammatory Bowel Disease2023

    • 著者名/発表者名
      Umeda Satoko、Sujino Tomohisa、Miyamoto Kentaro、...、Kanai Takanori
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology

      巻: 16 ページ: 1011~1031

    • DOI

      10.1016/j.jcmgh.2023.08.002

  • [雑誌論文] Bacteriophage therapy against pathological Klebsiella pneumoniae ameliorates the course of primary sclerosing cholangitis2023

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa Masataka、Nakamoto Nobuhiro、...、Kanai Takanori
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: 3261

    • DOI

      10.1038/s41467-023-39029-9

  • [学会発表] 消化管と他臓器相関2024

    • 著者名/発表者名
      金井 隆典
    • 学会等名
      日本消化管学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 腸内細菌を起点とする臓器連関2023

    • 著者名/発表者名
      金井 隆典
    • 学会等名
      日本医学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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