研究課題
奨励研究
正当業務行為に関する学校事故裁判例のうち、無罪判決が下された事件を検討対象とした。事実行為としての懲戒にあたって、一切の有形力行使を認めないことは不合理であると、(少なくとも古い)判例は考えている。ただし、暴力や死に対する価値観の変化が裁判所の判断に影響を及ぼしている可能性は高い。懲戒行為ではなくても、例えば喧嘩している生徒を止めるために腕を掴む程度の有形力行使は、当然許容される。逆に、教員等が激昂・憤激していきなり殴打したようなケースは、ほぼ許容されることがないようである。
刑事法学
学校事故に関する民事裁判例については複数の網羅的な先行研究が存在するが、刑事裁判例についてはわずかな業績が認められる程度である。学校事故をめぐる刑事裁判例について検討することには、一定の先駆的価値がある。また、検討対象とした裁判例を素材として模擬裁判を実施すれば、それは必然的に見解の対立を含むこととなるから、異なる意見を調整して合意形成を行うトレーニングの素材となる。裁判記録に依拠して、その素案も作成した。