本実践研究は、中高生が自身の振り返り力の高まりを感じ、英語力向上に寄与し得る振り返らせ方に関するものである。 申請者が中学1年生、2年生を対象に行った過去2年間の研究成果を踏まえ、3つの主な研究課題(1. 限られた授業時間内で振り返りのタイミングをどう設計すればよいか? 2. 生徒の自己意識の変化と英語力(パフォーマンステストスコア)の伸びとの間にどのような関係性があるか? 3. 最終的な英語力の向上に結び付く振り返らせ方にどのような方法があるか?)を設定し、本研究では中学3年生及び高校2年生を対象に実践を行った。 結果、1) 振り返りの指導及び評価の基本計画(振り返りのカリキュラム化)を定めたことにより、 生徒の振り返りの定点観察及び形成的な見取りが可能となったこと、2) 実践上の時間的負担の改善策として新たな振り返りシートを開発したこと、3) 中高を対象に新たに開発したシートを使用した実践では、中学では以前よりも英語力の伸び、及び生徒の振り返り力(自分の英語学習の到達点と課題を分析して行動できる力と設定)の伸びに貢献したこと、4) 中高とも、①自己意識の変化と英語力(英語発話量と定義)の伸びとの関係性が比較的高かったこと、②実践前後で、生徒が自覚する振り返り力の全体的な向上が見られたこと、③生徒が自覚する振り返り力の伸びが高い生徒ほど英語力の伸びも高くなる傾向、を確認した。 高校生を対象にした実践では、本実践を行っていない群との比較検証の必要性など、今後の課題が残るものの、中高を一貫した振り返り指導モデルを確立するための第一歩となった。
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