〇研究目的 火山噴火による火砕流や噴石などの一次的な災害については,防災訓練などの対策を通じて高い防災リテラシーが保たれている.しかし,噴火後の火山灰の堆積物が,降雨により土砂災害や河川の氾濫など人命に関わる二次的な災害を噴火後約1年に渡って繰り返し引き起こすことについては,あまり知られていない.そこで,二次的災害の発生メカニズムを主体的に学ぶため,災害発生の様子を可視化する教材として,3D地形モデルと,モデルに対して降灰の堆積および降雨を模擬する装置の開発を行った. 〇研究方法 3D地形モデルは,国土地理院より提供されている立体地図データの縮小版を3Dプリンタで造形して製作した.この際,積層ピッチを細かくするなど,滑らかなモデル造形のための条件について検討した.降灰の堆積は,3D地形モデルにR2年度採択事業で開発した降灰模擬装置により実施した.降雨は,微霧発生ノズルを用い,噴射圧力により降雨強度を制御できる装置を開発した.最後に開発教材を用いて,堆積した降灰が,降雨により土石流となる様子を可視化できるか試験を実施した. 〇研究成果 3D地形モデルに降灰を堆積させ,そこに降雨させることで,灰が流れ出る様子を確認できた.しかし,降雨模擬装置の雨粒の粒径が降灰の粒径に比べて非常に小さいこと及び地形モデルの傾斜部に段差があることから,土石流が発生するまで時間がかかり,現象を確認する教材としては課題が残った.3D地形モデルは,3Dプリンタの積層ピッチが0.18[mm]以上では,傾斜部に段差ができる状態であった.積層ピッチを細かくし,造形を試みたが,0.18[mm]以下では,装置のノズル部分にフィラメントが付着する等の故障が発生し,十分な検証が出来ていない状態である.降雨模擬装置は,噴出圧を高くすることで降雨強度を強くする機能を確認した.
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