本校所在地の福井県鯖江市はめがね産業が有名であることから,めがねフレーム製作を意識したろう付実習の教材開発を行った.学生がろう付方法を理解できるようにろう付作業の様子をビデオで撮影して,テロップで動画の補足説明をした教材を製作した.本教材で使用する材料は黄銅,洋白,アルミニウム合金とした.ろう付動画は“黄銅同士”,“洋白同士”,“黄銅とアルミニウム合金”,“洋白とアルミニウム合金”の4種類とし,製作した動画を視聴した後に学生はろう付を行った.また,ろう付の評価方法は,ろう付した材料(試験片)を万能試験機による引張試験によって実施した.ろう付した材料(試験片)を引張荷重により破断するまでの荷重を測定し,より大きな荷重に耐えることができれば優れたろう付とした. ろう付実習を行った学生21名にアンケートを実施した.「動画はわかりやすかったですか?」の問いには「大変わかりやすい」,「わかりやすい」の2つの回答の合計が95%であった.この結果を見ると,ほとんどの学生が今回開発した教材がわかりやすかったようであった.また,アンケートの自由記述欄では「自分のろう付の強度が知れておもしろかった」,「他の学生とろう付の強度を競争して楽しかった」との意見が多く,学生は競争意識を持ちながら実習を行っていた.学生に競争意識を芽生えさせようとした当初の目的も果たせたのではないかと思う. また,アンケートの別の設問で「実習後,ろう付に興味を持ちましたか?」の問いには「大変持てた」,「持てた」の2つの回答の合計が95%,「実習後,ろう付を行うめがねづくり(めがね産業)に関心を持ちましたか?」の問いには,多かれ少なかれ関心を持てたとの回答が90%であった.この結果を見ると,今回開発したろう付実習教材を用いて実習を行ったことで,ろう付に興味を持ってくれたと感じたし,めがね産業に関心を抱いてくれたと思った.
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