研究実績の概要 |
研究テーマは、組合せゲーム理論の中の石取りゲームにおいて、パスを許すルールの下での必勝戦略である。古典的な三山崩しの石取りゲームは、数学的な必勝戦略の公式は1901年にC. Boutonハーバード大学教授によって発見された。この三山崩しにおいて、石が残っている状態の場合のみにゲームの終了までに1回だけ使うことができるパスを導入する。このパス付きの場合に後手必勝の状態を表す数学的な公式を求めることは未解決問題である。長い間未解決なので、次の3つの方法でこの問題の周辺から迫った。 (1) 1つの山から取れる石の数に制限をつける。石がm個あるときに、取ることができる石の個数をm/2の小数切り上げとする。制限をつけるとパスを導入してもGrundy数の公式を作ることがわかり、成果として次の論文が掲載された。 [1] R. Miyadera and H. Manabe, Restricted Nim with a Pass, Integers Vol.23, 2023 # G3.(2) パスが使えないのは全ての石がなくなった状態のみという条件を変えた。その方向でいくつかの結果が出た。その1つでは、 R. Miyadera, H. Manabe, Y. Tokuni and A. Singh, Previous Player's Positions in Impartial Three-Dimensional Chocolate-Bar Games with Constrained Chocolate Size, Springer Lecture Note in Computer Scienceの論文掲載が決まっている。 (3) Symbolic RegressionというAIの手法を用いて未解決問題の公式を探す。未解決問題そのものについては結果が出ていないが、類似問題に関して公式を発見した。成果はICAIA2023とIEEE2023のProceedingで掲載されている。 パス付きのゲーム以外にも、石取りゲームの一般化をいくつか行い、研究成果を得た。
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