患者本人の副作用マネジメントが喫緊の課題となっている免疫調節薬(IMiDs:サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)に関し、実臨床における有害事象発現状況を明らかにするため、日米の大規模有害事象自発報告データベース(SRS)を用いて網羅的に調査を行った。 米国食品医薬品局(FDA)が公開するFDA Adverse Event Reporting System(FAERS)及び医薬品医療機器総合機構が公開するJapanese Adverse Drug Event Report database(JADER)を用い、各国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・オーストラリア・日本)のIMiDs関連有害事象(ImrAE)の報告件数を明らかにした。各国の報告年ごとのImrAEの報告割合を算出し、報告割合の経年的変化とIMiDs関連イベント(IMiDsの適応追加や行政通知など)との関連を調査した。 日本では骨髄抑制に関する有害事象が多く報告されていたのに対し、それ以外の国では形質細胞骨髄腫や死亡など骨髄抑制関連以外の様々な有害事象報告が上位であった。ImrAE報告割合は適応の追加などのIMiDs関連イベントに伴い増加しており関連が示唆された。 日米のSRSを用い、各国におけるIMiDsの有害事象発現の実態が明らかとなった。本研究より、個々の患者背景に応じた有害事象リスク軽減に向けた適正管理手順の構築への足掛かりとなる重要な知見が得られた。今後は機械学習を導入し、IMiDs関連有害事象のリスク因子の解明、有害事象発現予測モデル式の開発により、副作用被害の最小化とIMiDs治療効果の向上に貢献する。
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