サルコペニアは、加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下であり、生活の質 (QOL) の低下だけでなく死亡率増加にも関連する病態である。高齢化に伴い、その患者数は増加しており、サルコペニアに対する治療薬の開発は喫緊の課題となっている。本研究では、サルコペニア治療薬の開発のための知見を集積することを目的に、科学的知見以外の多因子をも内包する医療ビッグデータを活用し、既存承認薬の中からサルコペニアの新規治療薬候補を探索した。初めに、WHOが提供する医療情報データベースを用いて筋萎縮を抑制する薬剤を探索したところ、抗アレルギー薬の一つを使用している患者で有意に筋萎縮の頻度が低いことが明らかになった。続いてマウス筋芽細胞を用いた検討をおこない、医療情報データベース解析で見出した候補薬剤が筋萎縮を抑制していることが示唆された。
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