研究課題
奨励研究
オキサリプラチン(L-OHP)による化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は高頻度で発現することから、臨床上大きな問題となっているが有効な予防法は未だ不十分な状況である。本研究では、後方視的調査および医薬品副作用報告データベース解析から、プロトンポンプ阻害薬(PPI)がL-OHP誘発性CIPNを軽減できる可能性を見出した。さらに、in vitro細胞実験系の結果から、PPIは有機カチオントランスポータ2(OCT2)を阻害することにより、L-OHP誘発性CIPNを抑制する可能性を明らかにした。
医療薬学
本研究成果は、未だ効果的な予防及び治療薬の開発に至っていないL-OHP誘発性CIPNを最小限に抑えるために、新たな軽減手法を確立するための有用な新知見であると考えられる。さらに、PPIは比較的安全性が高いため、予防及び治療薬が存在しないアンメット・メディカル・ニーズに応え、既存薬を転用して新たな疾患の治療薬として開発するドラッグ・リポジショニングを兼ね備えた、L-OHP誘発性CIPNの新規支持療法薬として期待される社会的意義の高い研究である。