本研究は、原子間力顕微鏡(AFM)を活用した研究に貢献することを目的とし,対象試料の特徴や物性などの情報から,性格診断テストのような試料に最適なAFM測定を推測できるAI技術開発を行った。研究手法としては機械学習の一つである「決定木学習」を用いて,試料の性質からAFM測定を決定できるソフトウェアを開発する、という目標とした。 プログラムを組むのに必須なデータを取得するため、鉱物,化合物の結晶,ポリマー,タンパク質,細胞(eg. がん細胞),ペプチドなど,多様な分野の代表とする試料の物性とAFM画像を取得してきた。一つの対象試料につき,測定可能ないくつかのAFMの画像を取得し,それぞれのAFM画像の特徴を分析した。どのような目的で対象試料を観察したいのか,試料の画像からどのような情報を得たいのかは研究分野により異なる。そのため上記の分析により,同じ試料でも違うAFM観察でその試料表面構造から様々の情報を得ることが可能となる。このようなデータを収集することで,研究で用いた試料とAFM測定条件のデータを数多く蓄積し,プログラム組むための膨大なデータベースを準備している。 採択期間中は主に,異なる金属とリガンドを含むポリマー,鉱物(金属とリガンド錯体の配合体),生体分子のDNAオリガミ,タンパク質,タンパク質と膜質の結合などの代表対象物を測定した。 今後も多様なサンプル,代表的な試料のデータ取得も継続して行う予定である。
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