研究課題/領域番号 |
23H05469
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
北浦 良 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (50394903)
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研究分担者 |
松田 一成 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (40311435)
岩崎 拓哉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (50814274)
岡田 晋 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70302388)
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研究期間 (年度) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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キーワード | 二次元ヘテロ構造 / 超構造 / 機能開拓 / 量子ドット |
研究実績の概要 |
本年度は、計画通り低次元電子状態の埋め込み法の確立を主として研究を進めた。具体的には、有機金属化学気相成長(MOCVD)法を用いた二次元ヘテロ構造の原子スケールの成長制御とナノデバイス作製を組み合わせた手法の開拓である。これを進めるに当たり、初めに装置の移設を行った。これは、昨年度に代表者が名古屋大学から物質・材料研究機構へ異動したことに伴うもので、MOCVD法の装置を一度解体したのち再構築することに時間を要することとなった。これに伴い、すべての配管をチェックしなおし問題のある個所を新品に置き換えるとともに、原料のボトル内の圧力を一定にするためのプレッシャーレギュレータを設置し、各原料ラインへの逆止弁の設置や質量分析計の追加などのアップグレードを実施した。これによってリークの有無や原料の供給量がリアルタイムで監視できるようになり、より制御性が高まった。また、上記した移設・アップグレードと並行して新しいMOCVD装置の開発も進め、成長チャンバー、フローコントローラ、原料供給系などの主要な部分の設置を完了した。この新しいMOCVD装置では成長チャンバーのシャワーヘッド部のデザインを変更し、より原料が混合しやすくなるようにするとともに、ラマン分光による成長過程のその場観察を実施するために必要となる観察ポートを増設してある。 上記した装置の整備に加えて、種々の接合系の構造解析と第一原理計算によるキャリア蓄積の解析を行った。構造解析では、原子分解能電子顕微鏡観察とイメージシミュレーションを組み合わせることで、ナノスケール接合構造の実現を明らかにした。また、キャリア蓄積の解析では、ゲート電圧の印加によってナノスケールの接合構造に特徴的な0および1次元のキャリア蓄積が起きることを明らかにした。いずれも、次年度以降の研究の基盤となる知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
代表者の異動が合ったにも関わらず、装置の移設および拡張を行い再稼働にこぎつけることができた。さらに新たな装置の設置も行い、次年度以降の研究の基盤を築くことができた。以上から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に築いた基盤をもとに多様な接合系を構築しその構造解析と光・電気特性の解明を進めていく。本年前半は、再構築した成長装置を使って種々の接合系を作製しその構造解析と光学特性の観測を進め、接合系に特徴的な励起状態の観測とその電場制御を行っていきたい。
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