研究課題/領域番号 |
23K00017
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
金光 秀和 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50398989)
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研究分担者 |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
北野 孝志 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (20390461)
紀平 知樹 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (70346154)
鈴木 俊洋 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80645242)
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
寺本 剛 中央大学, 理工学部, 教授 (00707309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 技術哲学 / 技術倫理 / イノベーション / 学際的研究 |
研究実績の概要 |
2023年度は、第一に、ホノルルで開催された4S(Society for Social Studies of Science)の研究大会で研究発表を行い、研究成果の一部を発表するとともに今後の研究にとって重要な知見を得ることができた。イノベーションをもたらす新技術が人間・社会に与える変容の意味を学際的に考察する過程で、持続可能性教育をいかに確立するかという課題が明らかになった。本研究発表では、国境を超えた持続可能性教育について、実践を交えながら検討をして、学習者の能動的な学びを促進するための工夫など、今後具体的に教育プログラムの内容を考察する上で有益な知見を得ることができた。 第二に、社会的提言に向けた予備的考察として、2回研究会を実施した。一つは、金光が2023年に出版した『技術の倫理への問い:実践から理論的基盤へ』をめぐって、技術哲学研究会(RESEARCHERS NETWORK FOR THE PHILOSOPHY OF TECHNOLOGY)と共催したものである。この研究会では、技術倫理に関連して何が問題となっているのか、どのような方向性の考察が必要とされているのかを論じて、技術倫理の最近の動向など、新技術が人間・社会にもたらす影響を考察する上で重要な知見を得ることができた。今一つは、人工知能をめぐって、ヒューマンインタフェース学会デザイン思想・哲学専門研究委員会、科研費基盤研究B(課題番号23H00557)と共催したものである。人工知能は日常生活からビジネス、医療、教育などさまざまな領域に浸透し、われわれの関係性や社会構造にも変化をもたらしているが、本研究会ではヒューマンインタフェースという観点からその使用について検討して、今後さらに議論を進める上で新しい知見を得ることができた。また、研究会第二部では、技術哲学に関する新しいネットワークを構築することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、国際学会の場で研究発表を実施し、今後の研究の方向性を確認することができたため。また、研究会を2回実施して、社会的提言に向けた予備的考察を進めることができたため。 ただし、当初は、「人工知能(AI)技術」、「医用生体工学」、「量子技術」、「地球工学」などを取り上げて、それらの技術が及ぼしうる具体的な影響について考察をした上で社会的提言を行う予定であったが、個々の技術について社会的提言を行うよりも、より包括的な形で社会的提言を行うこと、および提言を教育プログラムとして行うことの有効性が検討され、今後はそうした方向で考察を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、社会的提言のとりまとめと次年度の予備的考察を行う。 第一に、社会的提言のとりまとめを行う。理論的考察で得られた学際的視点と予備的考察で得られた知見をもとに、人間・社会に変容を及ぼしうる新技術のあるべき姿について社会的提言の素案を作成する。ただし、「現在までの進捗状況」で述べたとおり、社会的提言は教育プログラム、特に持続可能性教育に関するプログラムを提示することを目指して検討を進める予定である。 第二に、そうした教育プログラムの内容について国内外で検討する。なお、そのプログラムを開発する際に、日本独自の視点についても考察する。また、具体的な教材開発に関しては、学会参加時などに可能であればインタビュー調査等も実施する。 第三に、科学技術イノベーションに関連した教育の調査を実施する。新しい教材を開発するために、国内外の大学で実施されている教育の現状を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、ホノルルで開催された4S(Society for Social Studies of Science)以外に国際学会の場で研究発表を行う予定であったが、国際技術哲学会(Society for Philosophy and Technology)が東京で開催されたことなどもあり、その予定を果たす機会がなかったため、 そのため、2024年度にローマで開催される世界哲学会議(World Congress of Philosophy)に参加し、技術哲学のセッションで研究発表を行う予定である。
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