研究課題/領域番号 |
23K00034
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
吉田 真樹 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (20381733)
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研究分担者 |
柏木 寧子 山口大学, 人文学部, 教授 (00263624)
上原 雅文 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (30330723)
上野 太祐 神田外語大学, グローバル・リベラルアーツ学部, 准教授 (30835012)
栗原 剛 山口大学, 人文学部, 准教授 (50422358)
木澤 景 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (60796225)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 基軸 / 源氏物語 / 愚管抄 / 今昔物語集 / 世阿弥 / 伊藤仁斎 / 葉隠 / 和辻哲郎 |
研究実績の概要 |
研究代表者・吉田は、『源氏物語』第一部における玉鬘物語の倫理的・祭祀的意義を中心に考察した。成果として基軸の観点から日本倫理学会での主題別討議「現世と超越」を実施責任者として実施(中規模シンポジウム)1件、論文発表1本、研究会発表1本を行った。研究分担者・上原は『愚管抄』の「神仏共存」理論の解明を試み、「祭祀」概念を一般的原理に据え、〈存在そのもの〉に対する祭祀として「仏法的普遍」と「日本的特殊」がそれぞれに作用し共存している様態を明らかにした。研究分担者・柏木は、中世「仏」観念を再把捉すべく『今昔物語集』天竺部仏伝を読解し、一つには成仏に関わる因果、いま一つには個としての釈迦仏に関わる因果について物語の思想を解明し、論文1本を発表した。研究分担者・栗原は、伊藤仁斎の儒学を対象として、近世日本における「天」と人間の「現存」をめぐる考察を進め、最新の研究動向に関する知見を蓄積した。成果として書評紙に書評1本を発表した。研究分担者・上野は、能における神の顕現について、世阿弥伝書と謡曲とを架橋し考察した。また武士の現存について、既刊栗原論文を書評し、騎士道との比較から『葉隠』武士道の徳の特質を学会報告し、英語論文にまとめた。成果として、論文公刊1本、学会発表1本、研究会書評発表1本を行った。研究分担者・木澤は、「現世と超越」の概念を『往生要集』において検討し、基軸概念としての可能性と限界を確認する学会発表1本を行い、和辻の初期仏教研究から「幻視」と「自責」の概念が基軸概念となる可能性を見出す研究会発表1本を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、年度内に夏・春2回の研究会合宿を行って、研究発表5本(内1本はゲストによる)、書評発表1本を行うとともに、神仏習合的風土に関わる現地調査を行った。成果として雑誌論文3本、書評1本を公刊し、学会における中規模シンポジウムの企画者および分担発表者として参加した。
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今後の研究の推進方策 |
『愚管抄』チームによる神仏共存理論の原理的解読作業を継続し、基軸チームにより日本思想の主要テキストにおける神仏習合的風土性に根差す基軸の抽出作業を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者1名が事情により研究会合宿に不参加1回、日帰り参加1回としたため、返金があった。次年度に有効に再分配する計画である。
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備考 |
栗原剛、大儒「伊藤仁斎」の実像を探る新たな評伝――近世東アジアにおける儒学の動向から見た仁斎の学問(澤井啓一『伊藤仁斎 孔孟の真血脈を知る』書評)、『図書新聞』、第3591号、2023年5月20日、6ページ
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