研究課題/領域番号 |
23K00062
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土井 裕人 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80568402)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 新プラトン主義 / 日本思想 / 田辺元 / プネウマ / 経営思想 |
研究実績の概要 |
本年度は、田辺元における新プラトン主義の受容と解釈について、神秘主義批判の観点および質料論から検討を行った。前者は専門の学会にて研究発表「田辺元における神秘主義批判と新プラトン主義-哲学と宗教の交錯という観点から-」を行い、論文としての刊行にはしばらくかかる見込である。後者は英文にて論文“Matter as a Point of Bifurcation of Platonism: Tanabe Hajime’s Interpretation of Plato’s Later Works and Neoplatonism”を公表することができた。これらは、研究代表者が従前より取り組んできた研究内容を踏まえながら、これまで先行研究で十分に指摘・検討されていなかった論点に踏み込んだものである。 また、新プラトン主義とりわけプロクロスにおいて「魂の乗り物」とも位置づけられるプネウマについて、西洋エソテリズムやニューソートと言われるキリスト教系思想を介して、日本の経営思想に間接的に伝えられた可能性について検討し、学会発表を行った。これは、従来の研究ではほとんど指摘されていないものと思われる。 このように、本課題での研究は順調にスタートし、研究実績がアウトプットされ始めるとともに、今後の研究の展開に向けて新たな論点や着想を得ることもできている。 (なお、もう1本の英語論文“Thoroughness of philosophy and return to religion in Tanabe Hajime”は、本研究課題と密接な関係はあるが、実質的にその前の年度の研究成果である。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新プラトン主義の田辺における受容・解釈の検討については論文2本分のアウトプットを得ており、うち1本が英文で発表済である。また、日本の経営思想への影響はおそらくこれまで全く指摘されていない論点であり、今後の展開を期待することができる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究内容をもとに、日本の他の思想家についても検討を進めることで、いっそうの成果を得られるようにする。本報告書の作成時点で、久松真一について検討を開始し、学会発表および論文の執筆ができる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に購入した研究資料の額に余裕ができたため。
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