研究課題/領域番号 |
23K00084
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
植村 拓哉 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20625008)
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研究分担者 |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
三宅 徹誠 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80449363)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 袋中 / 浄土曼荼羅 / 浄土宗 / 念仏講 |
研究実績の概要 |
袋中開創寺院の所蔵資料に対して総合調査を行い、資料情報を活用し易いように研究資源化する目的のもと研究を進めている。 (1)現地調査 今年度は京都・鶯瀧寺において心光庵旧蔵資料の選定及び調査を実施した。山城郷土資料館に寄託されている旧蔵資料の調査と併せて、現在確認できる心光庵資料についてはほぼ確認できたものと考える。心光庵旧蔵資料の問題点としては、鶯瀧寺資料と心光庵資料の判別が挙げられるが、仏像・絵画・古文書古記録・位牌・工芸に心光庵旧蔵と考えて良い資料が確認できた。 また袋中開創寺院のうち、奈良・念仏寺が所蔵する阿弥陀如来立像のX線CTスキャン調査による詳細な構造情報をもとに、構造的特徴を分析したうえで制作年代について再検討し文章化した。さらに念仏寺所蔵彫刻のうち江戸時代以前に遡る作例について調査をおこない、基礎データおよび銘記類の情報提供を目的に報告を公開した。従来知られていなかった作例についても加えることができ、念仏寺に関する既刊の書籍・報告書等を合わせ、その所蔵文化財の全容を明らかにすることができた。 (2)南都の浄土宗寺院調査 研究を進めていく中で、主題となる袋中開創寺院のみならず、中世末から近世における南都の浄土宗寺院の成立と発展過程についても並行的に理解をすすめる必要性があると考え、奈良・浄国院、浄福寺、普光院で文献調査を実施し、西福寺では「法然上人絵伝(門中御忌道具のうち)」の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査先が当初計画から変更となったことで、想定していた全体量からみると遅れが生じている。一方で、近郊である南都の浄土宗寺院での調査を行ったことで、近世浄土宗寺院研究の基礎的な情報を収集し追加できたことは補完的に研究内容の充実を図れたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では現地調査の積み重ねが必要となるため、調査先との調整を円滑に行えるようにしたい。また、南都の浄土宗寺院への調査も引き続き実施し、浄土宗僧の活動基盤の実態や変遷の把握に努めることで主題となる袋中とその開創寺院の活動を位置づけていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠方での現地調査の旅費とその調査データ整理の人件費、調査のための設備費の支出が少なかったために発生した。次年度においては、調査設備を揃えたうえで、現地調査や関連資料収集を実施していく。
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