研究課題/領域番号 |
23K00099
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
清水 則夫 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (30580849)
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研究分担者 |
グラムリヒ・オカ ベティーナ 上智大学, 国際教養学部, 教授 (60573417)
高橋 恭寛 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (70708031)
本村 昌文 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (80322973)
浅井 雅 四日市大学, 総合政策学部, 特任准教授 (80782010)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 家 / 儒学 / 近世 / 思想史 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、①個人における〈生の規範〉、②社会における〈生の規範〉、③儒者のつながりにおける〈生の規範〉、の3つの視角から分析を加え、当該期日本における〈 生の規範〉としての儒学受容を明らかにすることを目指した。 23年度の研究実績は、総じて言えば、儒学受容が認められる場面では、ほぼ例外なく、在地の習俗も大きく影響しており、その両面に目配りする必要があることを明らかにした。上記の3つの視角に即して整理すれば、概要は下記のとおりである。 ①について。『孝義録』の類は、儒学的な枠組みをもとに編纂されているものの、収録された事例にはむしろ「迷惑」意識に近い性格が認められ、単純に儒学的と概括することは難しい。また墓参の議論にも受容と反発の両面が看取される。当時も墓参は仏教的意識のもとに広く行われていたが、儒教において墓参は祖先祭祀の一部に過ぎず、また仏教との対抗上からも単純に肯定することはできなかった。そのため議論の対象となった。 ②について。異姓養子の可否は、受容と反発とが表面化した典型例の一つである。当時の社会で異姓養子は肯定されていたが、儒学は原則的にこれを否定したため、儒学の規範と在地の習俗のどちらを優先するかが先鋭的に争われた例もあった。また頼家での儒礼の実践は、必ずしも本来の儒礼に忠実でない点も多かったが、それでもその行為は、藩儒という頼家の社会的地位と強く結びつくものと意識されていた。 ③について。藩儒の婚姻を分析した結果、婚姻は職能と不可分であることが明らかになった。武家社会での儒者の位置づけに応じ、婚姻相手も変化する傾向がある。また職能上の後継者を得るという目的が婚姻を強く規制しており、これは同時に知識層のネットワーク形成にも強く影響した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度の成果が、当初の計画で想定されていた内容にほぼ合致するため。
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今後の研究の推進方策 |
方向性には問題がないと考えられることから、より広範な事例の収集およびその分析とを、着実に進めることが重要であろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として人件費と旅費で、計画通りに進展しなかった点があるため、当該助成金に余剰が生じた。24年度分と合わせ、本来の目的のとおり、主に人件費と旅費として使用する予定である。
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