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2023 年度 実施状況報告書

映画装置の発明と伝播による世界感の変容 -シネマトグラフを手がかりに-

研究課題

研究課題/領域番号 23K00118
研究機関都留文科大学

研究代表者

瀬尾 尚史  都留文科大学, その他部局等, 特任教授 (00839665)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード映画史 / リュミエール / シネマトグラフ / リアリズム / 博覧会
研究実績の概要

本年度は国内での文献調査と、フランス・パリでの実地調査を行った。
文献調査においては、19世紀末から20世紀初頭に開催された各種博覧会に関する研究書や論文を入手し、内容分析を行った。当時の帝国主義のイデオロギーを色濃く反映した博覧会について調査したことで、シネマトグラフ作品もまた、そうしたイデオロギーからは逃れられないメディアであることを理解することができた。
2024年3月には、パリのフランス国立図書館で4日間の実地調査を行った。フランス国立図書館のオーディオ・ヴィジュアル部門では、フランス国立映画アーカイヴのデジタル化された所蔵作品を閲覧することができる。本研究の分析対象であるリュミエール社のシネマトグラフ作品は、現存するものは全て所蔵されていることから、本研究を進めていくにあたって、こうした現地調査は不可欠のものである。今回は、大都市に作られたネイティヴ・ヴィレッジで行われた先住民たちの「人間の展示」を撮影したフィルムを中心に鑑賞し、分析を行った。こうした国立映画アーカイヴの調査を行ったのは、博士論文執筆時以来であり、ほぼ10年ぶりのことであった。久しぶりにアーカイヴの作品を調査したことで、リュミエールのシネマトグラフ作品が持つ、映画的豊かさや研究対象としての可能性の大きさを再認識することができた。
今回の実地調査の成果は、「帝国主義時代における異文化の表象」の論文タイトルで、2024年度中に都留文科大学の研究紀要に発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍がほぼ終息したことで、自由な海外渡航が可能となり、フランス・パリでの現地調査を行うことができた。ただ、他の校務出張の関係から、年度末の3月の、しかも4日間のみの現地調査となってしまったことと、その成果の発表は来年度になってしまったことは残念であった。ただし、最低限必要な文献調査や作品分析は行えたことから、初年度の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると自己評価している。

今後の研究の推進方策

現地調査での成果を踏まえて、引き続き研究テーマを精緻化していきたい。ただし、研究対象であるシネマトグラフ作品は合計1300本に及ぶ。1本が1分足らずの作品であるとはいえ、その全貌を理解し、分析するまでにはかなりの時間を要する。残念ながら、今回の現地調査で分析できたのは、ほんの一部に過ぎず、再度の現地調査の必要性を強く感じている。したがって、今年度は研究をスタートさせるにあたっての物品費と海外渡航費が支出の中心であったが、来年度は海外渡航費の占める割合が大きくなることが予想される。円安や燃料費の高騰で、海外渡航費も値上がりが続いているだけに、無駄なく効率よく支出できるように、渡航時期の選択などで工夫をしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたレーザー複合機の購入は、その必要が無くなり見送ったため。残額については、次年度において海外渡航費を中心に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 戦後映画理論の系譜 : アンドレ・バザンからジル・ドゥルーズへ2023

    • 著者名/発表者名
      瀬尾尚史
    • 雑誌名

      都留文科大學研究紀要

      巻: 98 ページ: 127-142

    • オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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