• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

現代音楽における旋法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00125
研究機関明治大学

研究代表者

宮川 渉  明治大学, 情報コミュニケーション学部, 特任准教授 (10760051)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード細川俊夫 / スペクトル音楽 / 旋法 / 音響 / 民族音楽
研究実績の概要

本研究は、現代音楽における旋法の使用方法、その傾向などを明らかにすることを目的とし、その対象として選んだ作曲家の一人が細川俊夫である。2023年度は特に細川作品研究に取り組んだ。ここでは細川自身が旋法と呼ぶオクタトニック・スケールが彼の作品の中でいかに用いられているかを分析した。その結果、細川は「母胎和音」と関連するオクタトニック・スケールを1990年代中頃以降に曲の中心的な音組織として用い始めたことが明らかになった。この研究結果をまとめた論文を学術誌に投稿したところ、受理され2024年10月に出版される予定である。
また2023年5月に武満徹と細川の作品研究に関する発表をフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)で行い、さらに同年6月にLangages artistiques Asie-Occident (Langarts)がパリのInstitut national d'histoire de l'artで開催した学会に参加して、細川のリズムの考え方に関する発表を行った。この発表をもとに執筆した論文はLangartsの編集委員会によって査読され、その結果、出版社L'Harmattanから2024年6月に出版される予定である。
本研究の対象となる細川には2023年12月末にインタビューを行うことができ、多くの新たな情報を得ることができた。この情報をもとに進めた分析をまとめ、学会発表と論文執筆に取り組むことを予定している。
またカイヤ・サーリアホなどを中心としたスペクトル音楽に関する研究も行う予定にしていたが、上に記したように、現在細川と直接連絡を取ることができる非常に恵まれた状況にあるため、まず細川作品研究を優先的に行うことを考えている。しかし、IRCAMからスペクトル楽派の作曲家であるフィリップ・ルルーのVoi(Rex)の解説文を依頼されたため、細川作品研究が落ち着いた時にスペクトル音楽の研究も進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細川俊夫作品の分析に関する明らかな研究成果を得ることができ、その研究発表も行えているため、順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

2024年度は、すでにいくつか発表する予定が決まっており、論文も1本を2024年12月末までに完成し、学術誌に投稿することを予定している。
他方、「研究実績の概要」に記したように、本研究の対象であるカイヤ・サーリアホやスペクトル音楽に関する研究にはまだ着手できていない状態である。こちらは上記の論文投稿が予定通りに進んだ場合には、2025年1月から取り組むことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

本研究は細川俊夫とカイヤ・サーリアホの二人を中心とした現代音楽研究をテーマとしているが、本年度は細川作品研究に主に取り組んだため、国外におけるサーリアホ作品研究のための調査を行うことはできなかった。しかし、国外での調査を2025年2月末に予定しているので、研究費が必要となる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2025 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] Institut de recherche en Musicologie(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Institut de recherche en Musicologie
  • [雑誌論文] 細川俊夫作品における「母胎和音」と関連するオクタトニック・スケールの使用-1990年代の大編成作品 の分析を中心に-2024

    • 著者名/発表者名
      宮川渉
    • 雑誌名

      音楽学

      巻: 70 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Le travail en collaboration entre Mayumi Miyata et Toshio Hosokawa2024

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 学会等名
      Institut de recherche en Musicologie主催Sheng! L’orgue a bouche - 21st seminar
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The concept of mother chord in the works of Toshio Hosokawa2024

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 学会等名
      ICTMD Musics of East Asia symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Les langages musicaux inspires du sho chez Toru Takemitsu et Toshio Hosokawa2023

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 学会等名
      Institut de recherche en Musicologie主催Sheng! L’orgue a bouche - 18th seminar
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] La conception rythmique de Toshio Hosokawa2023

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 学会等名
      Langages artistiques Asie-Occident (Langarts)主催La perception du rythme selon les arts et les cultures - Manifestations artistiques et fondements culturels
    • 国際学会
  • [図書] Musiques au Japon2025

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      Hermann
  • [図書] La perception du rythme selon les arts et les cultures - Fondements culturels et demarches artistiques2024

    • 著者名/発表者名
      Wataru Miyakawa
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      L’Harmattan

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi