研究課題/領域番号 |
23K00164
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木水 千里 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, その他(招聘研究員) (90727091)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | タシスム / シュルレアリスム / 戦後フランス美術 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後のシュルレアリスムとタシスムの関係に着目し、等閑視されてきた戦後フランスのモダニズム美術の射程の解明を目指すものである。本研究課題初年度にあたる令和5年度は、タシスムの創始者であるシャルル・エティエンヌの基礎研究に着手すべく国内で入手可能な資料を調査後に、夏期長期休暇を利用しパリで資料収集を行った。フランス国立図書館にて当時の新聞・雑誌を調査し、シャルル・エティエンヌが当時の芸術動向について執筆した記事を中心に調査・収集を行った。 また、40・50年代のフランスで展開された独自の美術史を多角的視点のもと考察するために、上記の資料収集とともにアンドレ・マルローの美術理論の解明を試みた。フランス人抽象芸術家ジャン・フォートリエを支持すると同時に、美術作品の複製写真を比較するという新しい芸術の鑑賞方法を提案したマルローの芸術理論を美術史の文脈に位置付け、本部をパリに置くユネスコのカラー複製プロジェクトとの繋がりを明らかにすることで、戦後のフランスに広がっていた美術史観の一端を明らかにした。この研究成果として、日本フランス語フランス文学会秋季大会ワークショップ、九州大学にて「想像の美術館の米仏美術史への再定位の試み-ユネスコ複製画プロジェクトからアド・ラインハートまで」を口頭にて発表した。 また本研究の前段階として30年代のシュルレアリスムと抽象芸術の関係について文脈化するために「1930年代の言説の錯綜からみる抽象としてのシュルレアリスム」を日仏美術学会会報にて論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パリでの資料収集に取り掛かることができた。また、研究成果の一端を口頭発表や論文の形で残すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
タシスムの創始者のシャルル・エティエンヌが新聞や雑誌に発表した記事はおおむね収集することができた。次に、その分析とともに、エティエンヌに関する一次資料を収集する。その成果を論文ないしは口頭で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安や出張地でのオリンピック開催の影響のため来年度以降の海外出張費の高騰を見据え出費を節約した。
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