研究課題/領域番号 |
23K00184
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
児島 大輔 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (50582376)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 仏教美術 / 仏像 / 素材 / 霊験 / 供養 / 異形 / 転用 |
研究実績の概要 |
本研究は日本・中国を中心とする東アジア地域の礼拝像や祭具を対象として、①素材、②霊験、③供養、④異形、⑤転用のキーワードに注目した調査・研究をおこなうことで、その制作の背景となったそれぞれの時代・地域の人々の抱いていた心性・世界観を明らかとすることを目的としている。本年度は本研究課題の採択初年度である。ただし、本研究課題の出発点となった基盤研究(C)の研究課題「礼拝像・祭具制作における素材選択の心性史:材質とその聖性の喧伝に関する調査・研究」の研究機関を繰り越していたために、本年度は同研究課題の最終年度でもあった。これと並行して進行したため、当初予定していたよりも進捗はやや遅れているが、研究代表者の所属機関で開催した特別展「京都・南山城の仏像」、建立900年 特別展「中尊寺金色堂」およびそれぞれの展覧会図録等において成果を広く公表できた。とりわけ、中尊寺金色堂中央壇諸仏の調査を行うことで像の構造等で新たな知見を得られたことは大きな成果で、展覧会図録等に盛り込めなかった成果については今後順次公開していく予定である。 また、特殊な素材を用いた仏像等の礼拝像や、異形の尊像、転用素材を用いた作例などの集成を行っている。文献史料の調査を行うとともに、実作例の調査では各地の寺院等での調査や各地で開催される仏教美術関連の展覧会等で公開される作品も大きな手助けとなっている。今後も引き続きこうした作例の蓄積に努めることで、各作品の制作の背景に潜む制作当時の人々の心性を明らかにするための材料としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は本研究課題の契機となった基盤研究(C)の研究課題「礼拝像・祭具制作における素材選択の心性史:材質とその聖性の喧伝に関する調査・研究」の研究代表者も務め、同研究課題の研究期間を繰り越していたため本研究課題と並行して進行する必要があったほか、所属機関で開催する特別展の担当を務めていたため、当初予定していた研究計画よりも進捗はやや遅れている。ただし、こうした特別展等でも本研究で得られた成果を広く公開することができており、大幅な研究計画の変更を必要とはしていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて日本・中国を中心とする東アジア地域の礼拝像や祭具を対象として、①素材、②霊験、③供養、④異形、⑤転用のキーワードに注目した調査・研究をおこなうことで、その制作の背景となったそれぞれの時代・地域の人々の抱いていた心性・世界観を明らかとすることを目的として研究を進める。具体的な調査対象として、本年度は韓国・国立中央博物館等コロナ禍で実施できていなかった海外での調査・研究を実現可能な範囲で計画しており、大きな成果を期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は本研究課題の契機となった基盤研究(C)の研究課題「礼拝像・祭具制作における素材選択の心性史:材質とその聖性の喧伝に関する調査・研究」の研究代表者も務め、同研究課題の研究期間を繰り越していたため本研究課題と並行して進行する必要があったほか、所属機関で開催する特別展の担当を務めていたため、当初予定していた研究計画よりも進捗はやや遅れ、次年度使用額が生じた。ただし、現時点で大幅な研究計画の変更を必要とはしておらず、次年度以降には海外調査等も実現可能な範囲で計画しており、研究期間全体で適切に使用できる見込みである。
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