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2023 年度 実施状況報告書

結露とともにイメージが成長する新たな視覚表現

研究課題

研究課題/領域番号 23K00203
研究機関松蔭大学

研究代表者

秋廣 誠  松蔭大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50783114)

研究分担者 土屋 貴哉  佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (50793866)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード結露 / メディアアート / シミュレーション
研究実績の概要

本研究は、不定な自然現象である結露の成長の特徴を保存しながら、任意の図像が浮かび上がってくる仕組みの構築を狙う。また、成果を他の芸術実践者が参照できるようにするものである。仕組みの概略は、成長(合体)過程にある水滴を、結露の過程にある金属板の微小孔の通気により、元図像に応じて、選択的に抑制するというものである。これにより連続して合体する水滴が、やがて図像を形成することになる。
研究の初年度である2023年度は、以下のことを行った。1)結露像を得る実験装置は、本研究の中核を成すものである。この装置のデザインを実施した。微小孔をもつステンレス製の実験基板は、複数回の試作を実施し、仕様を決定した。ステンレス基板の具体的な冷却方法も考案した。2)前述の実験装置とは別に、疎水性をもつ金属板支持体の下地加工及び薬液塗布の手法の実験、ならびに、水滴を付着させる実験を実施し、作品として、複数の展覧会で発表した。3)Processingによる、結露の合体成長(coalesced growth)をシミュレートするプログラムの開発に着手し、水滴の合体についての方法とアニメーションにおける表現などについて検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

微小孔をもつステンレス製の実験基板の孔部の寸法精度は、微細レーザー加工技術に依存しているが、加工コストと精度とのバランスについて、当初よりも慎重に見極める必要が生じた。このため、加工業者へのテストピースの製作依頼を、当初計画したよりも多く実施した。
コンピュータによる水滴合体のシミュレーションの開発では、合体によって引き起こされる、運動量を考慮した水滴の加速や、ぬれ性と表面張力からなる水滴の断面形状、ならびに体積、などを加味すれば、よりリアルな表現に迫れると感じた。すなわち追加のアニメーションのパラメータや、熱力学の知見の必要性を感じ、改めて、シミュレーションのアルゴリズムの整理を行った。
これらのことから、やや遅れている、と判断した。

今後の研究の推進方策

今後は以下のように研究を進める計画である。
1)結露像を得る実験装置のうち、ステンレス板は、2023年度に決定した仕様にもとづき製作する。未着手である冷却系と、水滴スポイラーの製作を進める。2)成長する水滴の断面をスチール撮影する。3)実験で得られた結露像と、実験パラメータの関係を一旦整理し、表現手段としての結露生成法の方向性やコンセプト、撮影方法等を、研究メンバー間で検討する。4)コンピュータによるシミュレーションのアルゴリズムについては、熱力学の文献などを調達して研究を進める。複雑な計算を逐次おこなうのではなく、事前計算したデータテーブルを参照するような仕組みを指向する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は、微小孔を有するステンレス板の加工試作と仕様決定に、当初計画より多くの時間を要し、本番用の加工を依頼できなかった。次年度は、速やかに仕様に基づき加工依頼を実施し、未着手の冷却系の製作、水滴スポイラーの製作を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考] 佐賀大学美術館 10周年記念サイト | トップページ

    • URL

      https://museum.saga-u.ac.jp/10th/

  • [備考] ART FAIR ASIA FUKUOKA

    • URL

      https://artfair.asia/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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