研究課題/領域番号 |
23K00211
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
森野 かおり 横浜国立大学, 教育学部, 講師 (20739198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 音楽学習 / 学習機会均等 |
研究実績の概要 |
本研究は,従来の器楽学習,いわゆる音楽に関する「習い事」がクラシック音楽に興味のある児童に限定的になっていることを学習の機会均等の観点から改めて捉え直し,児童が自らの意思でクラシック音楽の学びを求めた場合に、持続的に学習可能な器楽教育を提供することのできる音楽教育システムを構築することをめざしている。 1年目(2023)は、音楽の学習機会の均等を目指す団体へのインタビュー調査,横浜市保土ヶ谷区との連携協議,放課後学習支援事業の参与観察,「がやっこ夏休み教室」の実践とそれに関する実践報告を行った。 音楽の学習機会均等を目指す団体へのインタビュー調査に関しては,「社団法人アーツスプレッド」の取り組みに着目し,立ち上げ発起人で理事長の三谷温氏へのインタビューを依頼した。本インタビューの語りでは,アーツスプレッドの音楽学習に関する取り組みの中での意図と葛藤,持続可能な音楽の学習機会提供の可能性について言及されており,本研究における音楽教育システムのアプローチを検討する機会となった。横浜市保土ヶ谷区との連携協議に関しては、本研究の最終段階(3ー4年目)に設定している実践と検証を行うにあたり,実践場提供の可能性について保土ヶ谷区役所こども支援課に協議を依頼した。その結果,保土ヶ谷区内の小学校放課後キッズクラブや横浜家庭学園での実践の可能性が見出された。放課後学習支援事業の参与観察に関しては,本研究における受講システムのアプローチを検討する機会となった。「がやっこ夏休み教室」の実践とそれに関する実践報告に関しては,例年横浜国立大学で実施されている小学生向けの学習機会の提供に関する事業において,ヴァイオリニストの南紫音氏によるヴァイオリンレッスンを実施し,その成果の検証から知の拠点としての大学における音楽学習機会の提供の可能性について検討できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は本研究の第一段階である音楽教育のシステム構築について,音楽の学習機会均等に関わる団体へのインタビュー調査や行政機関との協議を通じて,一定の知見を得ることができたと考えている。同時に,本研究の最終段階(3ー4年目)に設定している実践と検証を行うための実践場の検討は順調に進展している。 音楽の学習機会均等を目指す団体へのインタビュー調査や行政機関との意見交換,放課後学習支援事業の参与観察を通じて,既に実施している音楽学習や放課後学習に関する取り組みの中での意図と葛藤を明らかにし,持続可能な音楽の学習機会提供の可能性について本研究における音楽教育システムのアプローチを検討する機会となった。今後も国内外で学習の機会均等に関わる取り組みを実施している団体や行政への調査を検討している。 音楽教育システムの実践に関しては,例年横浜国立大学で実施されている小学生向けの学習機会の提供に関する事業において,ヴァイオリニストの南紫音氏によるヴァイオリンレッスンを実施し,その成果の検証から知の拠点としての大学における音楽学習機会の提供の可能性について検討できた。2024年度からは上記に加え,保土ヶ谷区内において定期的なヴァイオリン学習の実践を予定しており,実践と検証を継続することにより,知の拠点としての大学における持続可能な音楽教育システムの構築を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,音楽の学習機会均等を目指す団体へのインタビュー調査や行政機関との意見交換,放課後学習支援事業の参与観察を通じて,既に実施している音楽学習や放課後学習に関する取り組みの中での意図と葛藤を明らかにし,基礎データの収集を進める傍ら,定期的なヴァイオリン学習の実践と検証を進めていく。 基礎データの収集に関しては,音楽教育に限定せず,学習機会の均等を目指す団体へのインタビュー調査を継続する予定である。 ヴァイオリン学習の実践と検証に関しては,2024年度から横浜家庭学園において定期的な実践を予定しており,2025年度からは保土ヶ谷小学校放課後キッズクラブでの実践を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の計画段階では,音楽教育システムの実践と検証は最終段階(3-4年目)に予定していたが,実践の機会が予想よりも早く持てたため,複数のヴァイオリンを調達する必要があり、研究の目的に応じて使途を再検討している。
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