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2023 年度 実施状況報告書

パンデミック時代の非公式文化生産―中国インディペンデント・ドキュメンタリーの位相

研究課題

研究課題/領域番号 23K00224
研究機関神奈川大学

研究代表者

秋山 珠子  神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (80422385)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード中国 / ドキュメンタリー / インディペンデント映画 / アサイラム / パンデミック / ディアスポラ / オンライン / 映画
研究実績の概要

本研究課題初年度にあたり、今後の研究を効果的に進めるための準備作業として、以下の調査・研究交流を行った。
【国外】顧問を務めるChinese Independent Film Archive(CIFA)設立記念プログラム(英国・ニューカッスル)への参加にあわせ、同プラグラム参加者インタビューおよび欧州(パリ、ロンドン、ケンブリッジ)におけるディアスポラ調査を行い、インディペンデント映画をめぐるシステム変容について重要な知見を得た。AAS-in-Asia(韓国・大邱)では、アーカイビングに関するパネル参加を行うとともに、国内外のパネリストおよび学会参加者らと本研究課題にかんし活発な意見交換を行った。SCMS(米国・ボストン)では、ジェンダーの視点からアジア・ドキュメンタリー史を再考するパネルに参加するとともに、各国の参加者との研究交流を通し、主に米国における研究・上映環境・ディアスポラの創作状況の把握に努めた。
【国内】「ケアリング/マザーフッド」展(水戸芸術館)調査を生かし、ケアと母に関する新たな知見を母親影展での講演「Mother to Be Shot」、および共著『動物×ジェンダー―マルチスピーシーズ物語の森へ』(第8章)を執筆した。山形国際ドキュメンタリー映画祭では、関連作品鑑賞および監督インタビューを行った。また同映画祭参加監督であるルオルオ氏、プロデューサーの李新月氏の両氏、およびワダ・ミツヨ・マルシアーノ氏を招いた公開イベント「台所のダンス 居間のファンタジー――パンデミック下の開かれた密室」を神奈川大学にて開催し、『ルオルオの青春』(2023)上映およびディスカッションを行った。大阪アジアン映画祭では、中国およびアジア諸地域の映像作品を鑑賞し、ポストコロナ時代における映像制作の諸相の調査を進めたほか、同映画祭プログラミング・ディレクターらと東アジアの映画制作状況ついての意見交換を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の初年度にあたる今年度は主に、先行する研究課題(19K00259)の成果をふまえ、より発展的な成果につなげるための準備段階としての調査・研究交流を推進した。CIFA設立記念プログラム、山形国際ドキュメンタリー映画祭等参加をはじめとする国内外における調査および研究交流、学会での発表、公開イベント「台所のダンス 居間のファンタジー―パンデミック下の開かれた密室」の開催、共著『動物×ジェンダー―マルチスピーシーズ物語の森へ』の執筆等により、当初の目的は十分達成されたと判断する。

今後の研究の推進方策

研究初年度に実施した調査の結果をふまえ、とくにポストパンデミック時代のディアスポラ監督・関係者の動向にかんする調査研究を重点的に進める予定である。依然として中国への渡航はパンデミック以前の条件には戻っておらず、調査の実現は予断を許さないが、中国調査が難しい場合には、隔年開催の台湾国際ドキュメンタリー映画祭での中国人参加監督等へのインタビューを実施するなど、極力中国国内での動向把握を進める計画である。また、予定されているAAS-in-Asia(インドネシア)、母親影展(オンライン)等での報告機会を通し、成果発信と研究交流を推進する。その他、これまでの調査によってその重要性が明らかになった、美術との交接に関連する研究会を開催するほか、引き続き、学会発表、論文執筆等を通し、研究成果の公表を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

欧州での調査を行うべく予算を配分していたが、これを、パンデミックにより延期されていたCIFAでの先行研究課題(19K00259)の成果発表とあわせて実施したことと、予定していた中国調査を延期したため、一部予算を次年度に繰り越す形となった。なお、円高等により旅費全般が高騰しているため、引き続き旅費削減の方途を模索するとともに、次年度使用額は、延期された中国調査をはじめとする、当初予定していた研究計画上不可欠な調査を極力円滑に実施するために使用する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] 草場地工作站(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      草場地工作站
  • [国際共同研究] Chinese Independent Film Archive (CIFA)(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Chinese Independent Film Archive (CIFA)
  • [学会発表] 秋山珠子セレクション『蟻の蠢き』2024

    • 著者名/発表者名
      秋山珠子、王楚禹、佐藤信
    • 学会等名
      第15回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Mothers Film Festival: Flipping Chinese Independent Documentary History2024

    • 著者名/発表者名
      Akiyama Tamako
    • 学会等名
      Society for Cinema and Media Studies (SCMS) 2024 Conference(Boston)
    • 国際学会
  • [学会発表] Mother to Be Shot--被拍[撮/射]的母親2023

    • 著者名/発表者名
      Akiyama Tamako
    • 学会等名
      母親影展2022(オンライン)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Living Archive: On CCD Workstation2023

    • 著者名/発表者名
      Akiyama Tamako
    • 学会等名
      AAS in Asia 2023(Daegu, Korea)
    • 国際学会
  • [学会発表] Symposium: Overseas Circulation of Chinese the 1990s Independent Films since2023

    • 著者名/発表者名
      Chris Berry, Karin Chien,Luisa Prudentino, Akiyama Tamako, Shelly Kraicer, Tammy Hung Cheung
    • 学会等名
      Chinese Independent Film Archive (CIFA) Launch Programme(Newcastle, UK)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 台所のダンス 居間のファンタジー ― パンデミック下の開かれた密室2023

    • 著者名/発表者名
      秋山珠子、洛洛(ルオルオ)、李新月(リー・シンユエ)、ミツヨ・ワダ・マルシアーノ
    • 学会等名
      日本映像学会アジア映画研究会/中国語学科社会貢献事業
    • 国際学会
  • [学会発表] 異境人―中国インディペンデント映画と日本の交接2023

    • 著者名/発表者名
      柴波、秋山珠子、韓燕麗、上田学、徐昊辰、戴周杰
    • 学会等名
      風雨同舟―日中映画交流の過去、現在、そして未来に向かって
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 動物×ジェンダー―マルチスピーシーズ物語の森へ2024

    • 著者名/発表者名
      村井 まや子、熊谷 謙介、菊間晴子、小松原由理、信岡朝子、鈴木宏枝、菅沼勝彦、秋山珠子
    • 総ページ数
      242
    • 出版者
      青弓社
    • ISBN
      978-4-7872-9275-9
  • [備考] 草場地工作站「母親影展2024 | 入選影片公布」草場地工作B站

    • URL

      https://mp.weixin.qq.com/s/M0M8gt7DVD4mswEsBqJXDA

  • [備考] 秋山珠子等「アジア映画研究会」『日本映像学会報』199

    • URL

      https://jasias.jp/wp-content/uploads/2024/02/JASIAS_NewsLetter199.pdf

  • [学会・シンポジウム開催] 台所のダンス 居間のファンタジー ― パンデミック下の開かれた密室2023

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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