研究課題/領域番号 |
23K00225
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
遠藤 潤一 金城学院大学, 国際情報学部, 准教授 (60461274)
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研究分担者 |
遠藤 麻里 金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (10813628)
定国 伸吾 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (00454348)
鈴木 宣也 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 教授 (90336652)
水内 智英 京都工芸繊維大学, 未来デザイン・工学機構, 准教授 (70724839)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ヴィジュアルリテラシー / 視覚教育 / 情報デザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,近年進化の著しい描画支援技術に対応するためにヴィジュアル・リテラシーを再定義することと,再定義に対応した教育プログラムを試作・評価することである。初年度であった2023年度は生成AIに関する技術動向について調査すると共に,生成AIの活用に関する文献調査を行った。また,映像にAIを取り入れた作品を制作した映像制作会社において,現役のプロデューサー,プログラマーの2名の方にインタビュー調査を行った。制作現場での生成AIに対する考え方,制作プロセスへの適用,将来的な見通しについて,詳細に確認することができた。また,研究メンバーが参加するヴィジュアルリテラシー研究会を3回開催し,各実証領域の研究報告を共有し基礎研究として議論を深めた。 各実証領域(都市空間,造形あそび,メディア表現,地図生成,映像制作)では,基礎的な文献調査を継続している。都市空間の領域では,現地調査を行い必要な情報について今後分析を行う。造形あそびの領域では,これまでに開発してきたモジ造形あそび拡張システムにAI描画支援技術を組み入れることについて検討し一定の目処をつけることができた。メディア表現の領域では,情報技術と表象文化との二つの観点から,表現技術に対応したヴィジュアルリテラシーの立ち位置を探るとともに,表象文化において,哲学的なアプローチからの見解と同時にメディアからのアプローチについても調査し理解を進めた。地図生成の領域では,システム思考とデザイン思考との交点に位置する領域として着目されているシステミックデザインへの理解を深め,システム図制作への生成AI活用についても検討をすすめた。映像制作の領域では,映像制作会社へのインタビュー調査の分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度となる2023年度の当初計画は,新しい技術に関する動向や事例調査を,文献や学会参加によって行い,それらから新たなヴィジュアル・リテラシーの要素を抽出し,各領域の対象分野において教育プログラムの企画,設計を行うことである。 現在までのところ,技術動向の確認や事例調査,文献調査自体に問題は生じていない。ただ,生成AIの技術的進化が早く新しい技術や事例が次々と誕生するなど流動性が高いため,調査の対象が拡大し続けている。このため,調査結果を整理,分析する段階がまだ十分に行えていない。 所属先の異動があった造形あそびの領域では,2025年度に実施するワークショップ開催場所の調整が必要であったが,新たに「あつぎこどもの森公園」との連携について協議を開始し,2025年度のワークショップ開催の目処をたてることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では2024年度は基礎的な調査を継続しつつ,教育プログラムの試作と実践による評価を進めることになっている。調査結果の整理,分析にやや時間がかかっているものの,全体のスケジュールは当初計画通りに進められる見通しである。 都市空間の領域は,2024年度は調査結果に基づきツールを開発し,愛知県瀬戸市における現地調査およびツールの実践を行う。造形あそびの領域は,2023年度の成果をワークショップに組み入れる手法やその意義について検討し,2025年度に実施するワークショップを考案する。メディア表現の領域では,再定義に向けて前年度の調査分析をまとめ,情報技術と表象文化の両面から,それぞれの分野の専門家と共に議論する。同時に,まず情報と表現の両方の側面に取り組む大学生を対象に,大学へ向けた教育プログラムの策定に取り組み,理論と実践の両面からアプローチする。地図生成の領域では,京都府京北地域での実証実験として,プロトタイピングを含めて実践的な側面に取り組む。映像制作の領域では,学生向けの教育プログラムの設計,試行を行って初学者への効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査の実施を複数回予定していたが,2023年度内に1回しか行うことができなかった。そのため,調査謝礼や交通費の費用が当初予定よりも少ない額となった。インタビュー調査は2024年度も継続して行う予定のため,生じた差額はインタビュー調査の継続での使用を予定している。
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