研究課題/領域番号 |
23K00227
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研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
本橋 弥生 京都芸術大学, 芸術学部, 教授 (90817123)
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研究分担者 |
高木 陽子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60307999)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ファッションスタディーズ / ファッション史 / オーラルヒストリー / 東アジアのファッション / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
本研究は日本現代ファッションの形成基盤にある1920年代から60年代に焦点を当て、その形成過程とアイデンティティの構築について、アメリカやフランス、アジア諸国との関係のダイナミズムの中に位置付けて考察するものである。2023年度は当初の研究計画の順番を入れ替え、研究の後半部分にあたる現代ファッションの形成過程について、およびアメリカ・東アジアとの関係から見た日本のモダンファッションの形成過程に焦点を当てて主に以下の調査を行った。 1)日本の現代ファッションを形成した人物へのインタビューまたはオーラルヒストリーの聞き取り調査(髙田賢三氏遺族、カワモトドレス(姫路)、烏居ユキ氏(デザイナー)、佐藤孝信氏(デザイナー)、Godlieve Keulen氏(元Kenzoニットデザイナー)) 2)日本の現代ファッション界を牽引した様々な立場の人物を登壇者に迎えたトークイベントの企画・実施(大野木哲人氏(瓜生山学園常務理事 京都芸術大学教授)、古川幹雄氏(七彩 アートディレクター)、コシノヒロコ氏(デザイナー)、田口淑子氏(編集者)、成実弘至氏(京都女子大学教授)) 3)東アジアの研究者たちと共に、アメリカのアジア学会(Association of Asian Studies Annual Conference)にて、”Influence of American Cowboy Culture“という20世紀アメリカのファッションから各国が受けた影響についての研究発表に参加。 その他、メトロポリタン美術館ラッティテキスタイルセンターとのオンライントークイベント(Eva Labson氏(同センター長)、Monika Bencsik氏(キュレーター)との共同企画)を実施した。また、研究代表者は研究分担者と定期的に打ち合わせ会議を行い、研究分担者は日本とフランスとの戦後の接触について準備的調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年、ファッション界の世代交代が著しいこと、および航空運賃の高騰と急激な円安という2つの要因から、2023年度は当初の研究計画の順番を入れ替え、欧米諸国での調査を後年に回し、国内調査やオンラインでの調査を中心に、研究の後半部分にあたる現代ファッションの形成過程について、およびアメリカ・東アジアとの関係から見た日本のモダンファッションの形成過程に焦点を当てて調査活動を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は5ヵ年計画としており、最初の3年間には主に資料調査やインタビュー、勉強会を行い、後半の2年間に論文等、研究成果をまとめる予定である。今後は、1年目から始めているインタビュー調査やオーラルヒストリー採取および東アジアの研究者たちとの研究会や学会発表を継続しつつ、以下のテーマについての調査に取り組む予定である。 1、日本および非西洋地域へのモダンファッションの導入について(パリとの接触、アメリカとの接触、東アジアとの接触など) 2、第二次世界大戦期における日本のアジア諸国への衣服政策について 3、戦後のアメリカおよびフランスのファッション界との接触およびメディアでの紹介について
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、パンデミック直後の年となり、また急激な円安となり、海外の航空券および宿泊費が高騰したため、予定していたヨーロッパでの調査を遅らせることとなった。2024年度以降は円安状況が続いてはいるものの、2年分の予算を当てて海外調査を行う予定である。
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