研究課題/領域番号 |
23K00248
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅野 優香 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (30623756)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | フェミニズム / クィア / LGBT / 映画祭 |
研究実績の概要 |
2023年度は、映画上映をめぐってフェミニストたちがどのようなかたちで対抗的文化公共圏を構築してきたかを理論的に考察し、とりわけ女性映画祭におけるトランスジェンダーの位置付けなををめぐって映画上映のオーガナイザーや研究者たちと連携しながら研究をすすめた。具体的には、クィア・女性映画祭で上映されてきた『あの夏のアダム』(リース・アーンスト監督)の上映および監督とのディスカッションやシュー・リー・チェン監督の新作『U.K.I』(2023)の上映と監督によるレクチャー、ディスカッション、QUEER VISIONS 2023における『ダイク!シネマ!アクション!』(キャロライン・バーラー監督)の上映と女性映画祭におけるレズビアン映画の意義などに関する議論などを行った。 本研究は、1970年から現在までの50年間にわたる女性映画祭の連続性と変容を問うと同時に、映画祭を通じた女性のトランスナショナルな協働と連帯のネットワークについて精査するものであり、女性映画祭の歴史をたどると同時に、その役割について理論的な分析を行い、そのトランスナショナルなネットワークについて考察しようとするものである。本年度は、とりわけfilmmaker、上映企画者、プログラマーの視点からみた映画祭の意義や役割について実践的な側面から解明が進んだように思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期映画とフェミニズム運動に関する資料、アーカイブ調査の実施が遅れている。渡航費および現地宿泊費の高騰などから、とりわけヨーロッパでの調査が遅れており、これについては今年度以降、実施を急ぎたいが、本年度はアジア(韓国、台湾)での調査があるため、それ以降になる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、女性映画祭を通して、フェミニスト運動と映画との関係を歴史的かつ理論的に考察し、フェミニストたちがどのように「トランスナショナルな女性映画文化」を構築していくプロセスを検証することを目的としている。filmmaker、上映活動の実践者(オーガナイザーやプログラマー)、観客を含め、そうした文化が形成されていく具体的な諸側面を重視し、現地での映画祭などに足を運び調査をしながら研究をすすめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた日本国外での調査に遅延が生じたため。次年度以降に調査を実施する予定である。
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