研究課題/領域番号 |
23K00318
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60252409)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 日本近世文学 / 自主規制 / 出版規制 / 三都出版法 / 浮世草子 / 禁書 / 筆禍 / 京阪出版法 |
研究実績の概要 |
西鶴の浮世草子テクストが出版規制への対応を行っているのかどうかの問題を考えるに当たって、最も注意を払わなければならない先行研究であると思われる谷脇理史の自主規制論の再検討を行った。谷脇の自主規制論は、その前提として出版法を意識した規制についての論をふくむからである。多くの論を発表した谷脇は、三都の出版法がちがっていたとも、同様のものであったとも、個々の論文により述べていることにちがいと振れ幅があり、それらのいずれを谷脇の三都出版法認識としていいか、極めて定めがたい。しかしながら、結局のところ、谷脇がそれらを自主規制があり得たことの状況的根拠として用いる論の流れにちがいはなく、谷脇の多くの論文の本論が、個別作品における婉曲表現・ぼやかし表現のあり方について論じていることにもちがいはない。そして、それらが表現の解釈について論じることになっている以上、結局のところ、自主規制論は、方法的にはテクスト解釈そのものである。それがテクスト解釈である以上、解釈の適不適を定められる観点を見出さなければならない。 江戸時代中期の講釈師・馬場文耕の処刑一件については、史料の再点検作業中に、文耕以外の一連の処罰者に関する史料と同種の史料の存在に気が付いたために、その確認のための作業を開始した。また、その他の課題についても最終年度までの課題達成をにらんで、作業工程の確認を行った。 その他、京阪の出版法の個別発令状況を認識していたと思われる先行研究文献である『京阪書籍商史』の諸版の再確認、その出版元であった業界紙『出版タイムス』自体の記事確認を行い、それぞれに得るところがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した課題に応じて、慎重に資料の点検を行い、行うべき作業が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
史料にもとづく実証的研究を行おうとする研究課題である。最も必要な推進方策としては、本研究課題に取り組む時間の確保に努めることに尽きる。そのように努力している。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料の複写納品が、所属機関が行う、今年度の会計処理の期限よりも遅れる危険性があると考えたものに関して、次年度早期の複写依頼を行うことにしたため。史料の複写を依頼してから複写物が納品されるまでに、実際どれくらいの月日を要するのかについての確実な見通しを事前に得ることが困難だからである。 また、研究書の購入発注を行ったものの、出版社から返事が無かったことにより、予定の予算執行が行えないものがあった。これについては、この先、再刷が行われるかどうか、推移をうかがい、再刷が行われないようであれば、研究課題の遂行に必要な、他の予算執行を考えれば済む程度の少額である。
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