研究課題/領域番号 |
23K00327
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
松本 和也 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (50467198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 岸田国士 / 三木清 / 火野葦平 / 川端龍子 / 藤田嗣治 / 文化工作 / 南方徴用作家 / 戦争画 |
研究実績の概要 |
1年目にあたる今年度は、テーマに掲げた問題領域について先行研究の再検討を行いながら、包括的な「日本文化」についての考察を進めながら、研究副題に掲げた3つの柱それぞれの問題関心からリサーチを進めた。 本研究全体に関わる包括的なテーマである、太平洋戦争期の「日本文化」に関しては、岸田国士を視座として昭和10年代における「文化の擁護」から「文化の建設」へと至る言説の変容を検証し、著書にまとめた。その際には、近代の日本が対峙することとなった、西洋文化との対決・葛藤を体現した「近代の超克」についても、同時代的視座から検証を行った。 3つの柱については、以下のように進めた。 第1に、戦争文学については、中国戦線に関わる火野葦平「広東進軍抄」と、南方徴用作家としてフィリピンで文化工作にあたった三木清の文化工作言説を軸に、関連言説を視野に収めた上で、その歴史的な位置づけを検討した。また、昭和戦前期に関わる文学テクストの分析も進め、谷崎潤一郎「春琴抄」や岡本かの子「鮨」について太平洋戦争下の「日本文化」に関わるかたちで、読解を試みた。 第2に、戦争と美術の関係について、戦時下における美術家の行動、発言、創作について、美術雑誌を軸とした言説の調査を実施した。現状、1939年までの調査を終えて、1年区切りで、論文の執筆をはじめた。1937年の美術言説の動向としては、美術家のなかから従軍するものがあらわれはじめ、秋の美術シーズンにも日中戦争をモチーフとした作品があらわれはじめ、賛否両論が闘わされた様相を、論文化してまとめた。 第3に、戦時下の移動演劇について、基礎的な図書を調査し、データベースの作成を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
演劇資料の調査は、やや遅れているが、包括的な「文化」言説についての調査は、対象期間をカバーできており、文学、美術に関する資料調査・分析は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始から1年間で、すでに単著1冊、論文5本を公刊できており、これらの成果をベースとしながら、文学、演劇、美術各領域の調査を、着実に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は資料調査・分析が順調に進み、論文制作のために一定の時間を割いたため、調査費に残額が生じた。次年度は、演劇資料を中心に、やや遅れた資料調査を進める。
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