研究課題/領域番号 |
23K00396
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
滝川 睦 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90179573)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 近代初期英国演劇 / 感情理論 / 身振り学 / 感情の演劇 / シェイクスピア / 修辞学の書 / 礼節の書 / シンパシー |
研究実績の概要 |
2023年度に実施した研究の成果は、(1)近代初期英国における「感情の演劇」(affects drama)を分析し、その特徴を、感情と演劇的身振り表出との関連性に焦点を合わせてデータベース化し、「感情の演劇」のジャンル規定の基盤を確立した。(2)Thomas WrightのThe Passions of the Minde in Generall(1601, 1604)などの当時の感情概念をめぐる一次資料を分析して近代初期英国における感情理論を再構築し、そこで規定される感情概念と(1)で析出された「感情の演劇」において表象される感情概念との関連性を解明した。(3)George PuttenhamのThe Art of English Poesy(1589)をはじめとする修辞学の書、CastiglioneのThe Book of the Courtier(英訳1561)に代表される礼節の書、『公定説教集』(Homilies, 1547,1562)の分析を行い、そこから析出される感情概念を、近代初期の感情理論の再構築に援用した。(4)Richard MeekのSympathy in Early Modern Literature and Culture(2023)において提起された「共感、同情」(sympathy)の概念を機軸に据えて、ShakespeareのThe Tempest(1611)を分析し、近代初期英国における感情の概念と演劇的身振りとの関連を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度においてはコロナウィルス蔓延の余波を受けて、様式S-14の「研究計画調書」に記した、英国図書館(the British Library)とロンドン大学附属図書館における一次資料の調査・研究を行うことができなかった。また出版予定されていた一次資料に関する研究書の出版が遅延されていることによって、研究の進捗状況に影響があった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、英国図書館とロンドン大学附属図書館における一次資料の調査・研究をはじめとして、交付申請書の「補助事業期間中の研究実施計画」に記したスケジュールに従って、着実に研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
様式S-14「研究計画調書」と令和5年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書の「補助事業期間中の研究実施計画」に記した、英語図書館とロンドン大学附属図書館における一次資料と二次資料の調査・研究を、コロナウィルス蔓延の余波をうけて実施できなかったこと、および一次資料に関する研究書の出版遅延が原因で次年度使用額が生じた。使用計画としては2024年度中に海外において、上記の本研究課題に関する一次資料・二次資料の調査・研究を遂行する予定である。また遅延されていた研究書の出版をまってそれらを購入し、「研究実施計画」のスケジュールに従って計画的に研究を実践する。
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